仲座栄三著 B6判/97頁/定価1,575円
2005年発行の『物質の変形と運動の理論』の著者が、理論の概略を再整理。コンパクトに弾性理論の新しい理論を展開した専門書。
圧力”の導入を機に、新たな弾性体理論が展開されていく様は、新たな弾性体理論の一大絵巻と言える。力学の専門書に、このような躍動を感じるとは、まさに新しいパラダイムの創造の持つ力と言える(若手弾性力学者、H.M.博士の書評)。
この書は、フックの法則が何たるかを定義づけ、従来の弾性理論の問題点を明確にし、その修正を迫っている。次いで、内部応力として圧力の存在を認めることで、新しい弾性理論の展開をスタートさせている。フックの法則の一般化、ポアソン効果、ひずみエネルギーの定義、弾性係数の物理、新たな応力評価、固体の破壊、表面張力の物理、… と新しい理論が次々に展開される様は、真に圧巻である。ぜひ、一読されてその鼓動を感じて頂きたいものである。
〈目 次〉
序
1章 なぜ新たな理論が必要か 1
1.1 フックの法則,そして物理法則は方向によらないことの確認 1
1.2 フックの法則の必要不可欠性 3
1.3 従来の弾性理論の問題点 5
1)1軸圧縮の横方向変形は何の力によるものか? 5
2)ヤング率とポアソン比を導入する理論の問題点 6
3)体積弾性係数とせん断弾性係数を導入する理論の問題点 8
4)体積変形波の波速にせん断弾性係数が係わる? 11
5)いずれが本物の弾性係数か? 12
2章 ヤング率及びポアソン比の導入そしてそれらの定義の修正14
2.1 フックの法則とポアソンの経験則 14
2.2 修正ヤング率及び修正ポアソン比 18
3章 2つの弾性係数を導入するフックの法則とその問題点 25
3.1 体積弾性係数とせん断弾性係数を導入する従来の理論 25
3.2 従来の解釈の問題点 29
3.3 平均圧力導入の問題点と係数1/3の問題点 31
4章 新たな弾性理論 34
4.1 圧力の導入 34
4.2 基本原理 39
4.3 フックの法則 40
4.4 内部圧の状態方程式 41
4.5 構成方程式 44
4.6 従来の弾性理論との関係 45
4.7 修正ヤング率と修正ポアソン比の関係状態方程式の同定 48
4.8 新たな応力評価 52
4.9 脆性材料の破壊と材料強度 54
4.10 支配方程式 61
4.11 弾性ひずみエネルギー 62
4.12 初期材料内部に潜在する応力と弾性係数 64
4.13 圧力と熱応力 68
4.14 固体・液体・気体の違い 69
4.15 表面張力と表面における弾性ひずみエネルギーの関係 71
4.16 弾性波の波速と弾性係数の関係 79
4.17 数値計算への応用 84
4.18 新たな弾性理論のまとめ 87
4.19 従来の弾性理論のまとめ 88
おわりに当たって 91
参考文献 92
〈著者略歴〉
仲座 栄三(なかざ えいぞう)
昭和33年 沖縄県宮古島にて生まれる
昭和57年 琉球大学工学部土木工科卒業
昭和59年 宮崎大学工学部大学院修了
昭和60年 琉球大学工学部助手
平成2年 工学博士 東京工業大学
平成8年 琉球大学工学部助教授
平成18年 同学部教授 現在に至る
平成20年-22年 琉球大学島嶼防災研究センター長
著書『物質の変形と運動の理論』(ボーダーインク,2005)