• 『「ツトムの虫」を探して 石垣島の自然観察者 正木任の残したもの』盛口満著

『「ツトムの虫」を探して 石垣島の自然観察者 正木任の残したもの』盛口満著

ISBN978-4-89982-418-3

1,980円(内税)

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石垣島の天文屋の御主前・岩崎卓爾の教え子マサキツトム
実際には書かれることのなかったツトムの虫の本をめぐる旅を通して再確認する
岩崎卓爾が教えてくれた「自然を見つめる目」


ゲッチョ先生で知られ昆虫に関しての著書の多い著者が石垣島の岩崎卓爾や「正木任(マサキツトム)」の息子である譲(ゆずる)さんとの出会いを通し、戦禍によって命を落としたツトムのこと、残したものをたどる。


〈さて、1943(昭和18)年、敗戦2年前のこの年に、「虫の本を出そう」と心に秘めながら、戦禍によって命を落とした一人の人物がいる。
 正木任(まさきつとむ)である。
 加藤正世なら、ウィキペディアによって、そのおおまかな履歴を見て取れるが、正木任の場合はネットで検索しても、そのような情報はでてこない。世の中には、ネットにはでてこないことだってある。いや、本当はそういうことの方が多いだろう。正木任(以下、ツトムと略させてもらう)は1907(明治40)年生まれ。僕の祖父より6歳年下だが、加藤や僕の祖父と、おおまか、同じ世代の人物であると言っていいだろう。僕は、血縁関係はないものの、祖父と同時代を生きたツトムに、少なからぬ興味を覚えている。いや、ネットには情報があがらない彼のことを、少しでも書き残したいと思い、こうして筆をとっている。
 実際には書かれることのなかったツトムの虫の本をめぐる旅を、始めることにしたい。〉
(本書 「序章 この本が生まれるまで」より)


現在、ツトムの名が和名につけられている生き物の名は以下の各種
マサキウラナミジャノメ(八重山固有のチョウ)
マサキルリモントンボ(台湾で記載されたイトトンボの種類の石垣。西表島固有亜種)
マサキルリマダラ(東南アジアに分布し、石垣島で初めて見つかった迷蝶)
マサキオオツバメガ(東南アジアに分布し、石垣島で初めて見つかった遇産蛾)
マサキベッコウ(尖閣諸島と西表島に固有のカタツムリ)
マサキカニダマシ(海岸動物のカニダマシの仲間)


■目次
本書の主な登場人物 

序章 この本が生まれるまで 
生き物との出会い  少年時代に出会った本  正木任という人物 

第1章 卓爾の虫 
石垣島の「マサキさん」と「岩崎さん」  卓爾との出会い  テンブンヤーヌウシュマイ(天文屋の御主前)  卓爾の「新種」  卓爾の幼少期  卓爾と虫との関わり  生物季節観測  卓爾の生物季節観測記録  新種の名前  ホタルとセミの名前  卓爾の虫のその後 

第2章 ツトムの虫 
ツトムの履歴書  卓爾の右腕・瀬名波長宣  ツトムの記憶  八重山生物調査団  大島広の来島  江崎梯三の来島  珊瑚礁の昆虫たち  隠された発見者  ツトムの活躍  尖閣諸島の調査  コノハチョウの謎  コノハチョウの生態解明  ツトムの手紙  最後の手紙 

第3章 継いでいくものたち 
マサキさんの思い出  川平への道  肌で感じる気象観測  孫好さんの話  戦中から戦後へ   歌のカニたち  尖閣調査  気候や星を表す島の言葉  かつての自然利用  薬としての利用   薪や炭の利用  身近な植物の変化  原野の消失  八重山の自然破壊  気象観測業務の変化  止まない好奇心  島の歳時記  継いでいくもの 

終章 
系譜上の虫  終わりに 

引用文献 

■著者プロフィール
著者プロフィール
盛口 満(もりぐち・みつる)   
1962年千葉県生まれ。千葉大学理学部生物学科卒。自由の森学園中高等学校教諭を経て、2000年に沖縄移住、NPO珊瑚舎スコーレの活動に関わる。2007年より沖縄大学人文学部こども文化学科教員。2019年より沖縄大学学長。主な著書に『ゲッチョセンセのおもしろ博物学』(ボーダーインク)、『琉球列島の里山誌』(東京大学出版会)、『ゲッチョ先生と行く沖縄自然探検』(岩波ジュニア新書)、『歌うキノコ』(八坂書房)など。


■2021年11月30日発行