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●四六判 160ページ
●定価1980円(本体1800円+税)
●落合貞夫 著
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なぜカフカ少年は四国の高松に向かったのだろうか。
世界文学になった村上春樹『海辺のカフカ』を知るための最新の案内書
高松在住の著者が、「海辺のカフカ」の中に出てくる高松のあちこちを訪ね歩き、なぜ村上が、高松を小説の舞台に選んだのかについて考察する
カフカ少年が行った図書館、うどん屋、神社、ホテルはどこか?
高松で出会った美しい女性は、カフカ少年の母親なのだろうか?
21世紀も人間は「悪』を繰り返すのだろうか?
●目次
はじめに
第1章 世界文学になった「海辺のカフカ」
第2章 日本の作家イメージを大きく変えた村上春樹
1 早寝早起き
2 マラソンランナー
3 文学賞の選考委員にならない
4 純文学とポップ・カルチャーの境界をなくした
5 公共の場に出ない
6 海外市場で大成功を収めた
7 アメリカ文学を血肉としている
第3章 村上春樹の精神形成をたどる
1 小学校低学年の頃
2 十代の頃
3 中学二年の頃
4 15歳の頃
5 大学生の頃
6 ジャズクラブを経営していた頃
7 デビューした頃
第4章 登場人物たち
1 田村カフカ
1の2 カラスと呼ばれる少年
2 ナカタサトル
3 佐伯さん
4 星野青年
5 大島さん
6 さくら
7 田村浩一
8 ジョニー・ウォーカー
9 カーネル・サンダーズ
10 岡持節子
11 ネコたち
第5章 時代背景について
1 地下鉄サリン事件
2 神戸連続児童殺傷事件
第6章 物語の基本構造
1 『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』との関係
2 フランツ・カフカ
3 オイディプス神話
第7章 作風の転換と継承
1 文壇での孤立
2 自我のすっ飛ばし
3 デタッチメントからコミットメントへ
4 三人称を使った最初の長編
5 変らぬ「謎めいた物語」
6 音楽の多用
第8章 これまでの主な作品論
沼野充義/河合隼雄/加藤典洋/小森陽一/黒古一夫/川村湊
児童文学としての「海辺のカフカ」
第9章 なぜ高松へ行くのか
1 讃岐と村上春樹
2 『雨月物語』との関係
3 大江健三郎との関係
第10章 高松のどこが出てくるか
図書館/神社/神社の橋/神社の洗面所/小さな祠/コンビニ/うどん屋
ビジネスホテル/体育館
第11章 父の呪いと村上春樹
第12章 ビルドゥングス・ロマン(成長物語)としての「海辺のカフカ」
第13章 「悪」について
第14章 カフカ少年の本名は?
あとがき——ノーベル文学賞の可能性
引用・参考文献
●著者略歴
落合貞夫(オチアイサダオ)
1954年香川県高松市生まれ。
著書に『讃岐の文学案内』(文芸社、2019年)、『四国路・文学の旅』(文藝春秋企画出版部、2020年)、『「悪」とたたかう村上春樹 全長編を読みほどく14章』(文藝春秋企画出版部、2021年)、『現代沖縄文学史』(ボーダーインク、2022年)、『在日コリアンの文学史 1923〜2023』(ボーダーインク、2023年)
2025年5月30日 初版第一刷発行