• 『オキナワノスタルジックタウン』ぎすじみち 写真・文

『オキナワノスタルジックタウン』ぎすじみち 写真・文

ISBN978-4-89982-429-9

2,640円(内税)

定価 2,640円(内税)

購入数
-----------------------------------------------
●A5判160ページ
●定価2640円(本体2400円+税)
●ぎすじみち 写真・文
-----------------------------------------------


「いつか無くなってしまうかもしれない風景を
ここにとどめておきたくて」

いつもの街で見つけた
ノスタルジックなたたずまい。
もう消えてしまった風景。

市場・商店・喫茶店・食堂・映画館・ヴィンテージ品
沖縄レトロ建築物と面白看板……
アメリカ世を思わせる建物まで

デザイナー・ぎすじみちが1990年代から撮りためた
沖縄各地をめぐる味わい写真探訪

那覇市

中部地域

宮古

特集

---------------------------------------------
●「はじめに」より

2022年、沖縄の風景もすっかり様変わりしてしまった。幼少時を過ごした1970〜80年代には、その頃でも古めかしい看板やお店がまだ多く存在していたが、2000年代頃から急激な開発が進み、古い建物はなくなって高層マンションやホテルが軒並み増えていった。

当たり前の風景がいつかは消えてしまうことを意識したのは、そんな20代後半の頃だったと思う。

更地になった途端、そこに何が建っていたか思い出せなくなり記憶とはなんと儚いものよ…と我ながら愕然とする。ならばせめて写真に記録して記憶を繋いで共有したいと思った。

しかし実際はそんな壮大な計画ではなく、ただただ好きな懐かしい看板風景やお店の佇まいをコレクションして「この書き文字いいよな〜」とニヤニヤ味わいたいだけなのかもしれない。

この本を手にされたということは、きっと貴方もこの気持ちを共感してくださるはず。

日頃はデザインを生業としている私が、日常的に撮りためてきた沖縄各地の看板や建物の風景を(独断と偏見で選び)紹介していく。そんな「ノスタルジックタウン」の風景へようこそ。

---------------------------------------------

●目次

第一章 那覇編
 看板職人の達筆さを味わう市場看板 農連市場
 暗渠となったガーブ川に沿って連なる 水上店舗
 那覇のシンボルといえばこの巨大タワー 那覇タワー
 アーチ形の吹きぬけから光がおりてくる商店街 ちとせ商店街ビル
 市場のにおいがしみこんだ看板たち 第一牧志公設市場
 浮島通りにて、在りし日の床屋の静かな佇まい 理容ナイル
 地下の片隅で静かな余生を過ごす土産物の看板たち 浮島マンションの駐車場
 国際通りの移り変わりを見てきた理容館 二見理容館
 時を忘れて静かにくつろげる老舗の喫茶店 喫茶ルイ
 オアシスのような憩いの場所だった パラソル通り
 心から落ち着く居心地のよい喫茶店 喫茶スワン
 木造建築と資生堂マークの味がある組み合わせ 化粧品店モダン
 バタークリームケーキの美味しさ再発見 末廣製菓
 現役でありつづける、城下町の老舗菓子屋 武村松月堂・中村製菓
 テント地のひさし看板がかわいい 大衆食堂ミルク
 見上げれば白い壁面に美しい立体看板 新田家具店
 3文字ですべてが伝わる 津山印房
 子供の頃の予防接種がトラウマだった 那覇市役所
 スパゲティがパスタへと変わる大人の階段 あるでん亭
 市場にマチヤグヮー、友達の家もあった 若松公設市場
 仏壇通りで異彩を放つ店頭のインパクト 大城テレビ修理店
 手書き文字の看板もかわいい、セメント瓦の美容室 みのり美容室
 シーサーが見守る街のバーバーショップ 山城理容館

第二章 中部編
 青空に映えるネオン看板がフォトジェニック ホテルライカム
 あの頃は遊園地もありました 沖縄こどもの国・観覧車
 多くの人々に愛され続けた定食屋 定食丸仲
 竜宮城の入口だったかもしれない 社交街入口
 気品ただよう古き良き中華料理店のおもむき 月苑飯店
 創業50年の街のステーキ屋さん ステーキハウス四季
 渋みのある立体英文字看板のさびれ具合 空港通りのファザード
 個性的すぎて入ってみたい衝動にかられる ラビットビル
 高くそびえる巨大ボウリングピン コザボウリングセンター
 ひっそりと静かな佇まいの珈琲店 コーヒーハウス響
 当時の看板が今も鮮やかに残るアーケード商店街 一番街
 ポップな宇宙船があらわれた 一番街アーケード・パークアベニュー界隈・ゴヤ中央市場
 青いタイル張りと鉄格子がモダン ルーブルホテル
 さまざまな有名人が訪れたレストラン レストラン平安
 ツートーンのひさしがアクセント 宮城理容館
 メリーゴーランドのようなゴージャスさが素敵 カラオケパブナウ
 ガレージのような佇まいの小鳥店 栄小鳥店
 つたに覆われたネオン看板が絵になる レストラン跡地
 ヤシが似合う昔ながらのホテル外観 ホテルハーバー
 曲線のくり抜きが印象的なデザイン キーストン
 ペットショップの博物館のような歴史ある店内 砂辺水園
 58号で大きな存在感を放つ老舗ホテル アジアホテル
 一歩入ればスナック街のラビリンス 嘉手納の社交街
 年季の入った看板が伝える靴屋の歴史 上運天靴店
 最高に密度の濃い老舗薬局 やまびこ薬局
 花ブロックまで床屋仕様にカスタマイズ みのる理容館
 和風な門構えと大きな木造建築の迫力 吉野
 三叉路の風景と老舗食堂 三角食堂
 建物とイメージを合わせたデザイン文字が秀逸 回生堂薬局
 個性的なスナックビル サンロードビル
 飴色の時が流れる喫茶店 ぶどうの木
 夜空を彩るネオン看板のあたたかみ パチンコサンシャイン

第三章 北部編
 ネオンと電飾の跡に当時の賑わいを想う ROBIN
 建物のデザインとネオン文字の迫力 レストラントーミー
 町の子どもたちはこの店と共に育った 金武文化堂
 東海岸を一望する海のそばのレストラン 漢那ドライブインレストラン
 赤瓦屋根の佇まいが美しい商店 屋嘉比商店
 名護で長年愛されたボウリングセンター キタボウリングセンター
 巨大ペンケースを彷彿 ルルのとなり
 カッティングシートで筆文字 食事の店 和
 個性的な社交街の跡が今も残る 辺野古のスナック跡
 あの頃の町の本屋さんの風景がここに ひかり書店
 漁港のそばの鮮魚店 儀間鮮魚店

第四章 南部・離島編
 今にも動き出しそうな畳工場 糸満のたたみ店跡
 文字デザインが卓越した手書き看板 手書き看板類
 今では珍しい全面トタンの建物 トゥータンヤー
 トタン造りの2階部分につながる螺旋階段 勝冷凍
 戦後すぐから続く金物店で沖縄の戦後史を知る マルサ
 地面に埋まった壁の直書き文字 照喜名商店
 フラリと入ってみたくなる喫茶店 喫茶パープル
 近づくほど隠れてしまう看板文字 山入端商店・商店看板
 緑の中で静かに佇む画廊喫茶 画廊喫茶独楽
 港が見える老舗旅館 波止場旅館
 在りし日の市場支店と今も残る本店 マルマサ菓子店 市場前店・本店
 手書き文字がイカす島の美容室 ビューティーサロンとよみ
 タイル地のアーチ窓の重なりが印象的 菊栄食堂
 歴代の手書き文字が重なる とみや商会
 島の風景になじむ手書き看板 なかま理容館

第五章 素敵な看板の世界
 そのままの君でいて 
 直書きの存在感に和む 
 文字を愛でる直書き看板 
 個性が光るスナック看板の世界 
 思い出の細い路地 
 懐かしいロゴとほのぼのイラスト 
 Machi Art〜ようこそマチアートの世界へ〜

〈特集〉My Favorite things 私のお気に入り
古いタイルと壁/錆びていくものたち/古いゲート/古いブロック/
ビンテージグッズのある風景/レトロなガラス模様など/
あの頃のスイッチとボタン/理容館&美容室看板コレクション

〈コラム〉
思い出の牧志公設市場/あの坂道をのぼれば/
椿食堂のおもいで/消えた映画館たち

●著者略歴
ぎすじ みち
1973年那覇市生まれ。本職はデザイナー。高校時代に雑誌宝島の連載「VOW」に影響を受け、街の面白風景を趣味で撮り始める。それをきっかけに長い時間を経た建築物や看板の存在感に惹かれていく。フィルムカメラやデジカメを経て、インターネットと携帯電話の普及により、SNSで日々おもしろさを感じる写真を投稿しながら、いつしかライフワークのように味わいのある風景を探し続けている。

●2022年8月 初版第一刷発行