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●A5上製本 160ページ
●定価3080円(本体2800円+税)
●田中水絵著
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いま蘇る宮古研究の先駆者ネフスキーの旅。日露の新資料が明かす「何故、宮古なのか?」
宮古来島100年記念出版。
100年前、ロシアからひとりの民族・言語学者が宮古諸島を3度訪れた。彼の名前はニコライ・ネフスキー。自在に宮古の言葉を操り、島民たちから古来より伝わる言葉、歌、風習を聞き集めた。綾なる古語で紡がれたアヤゴ(歌)に魅了されたネフスキーだが、大粛清の時代のソ連で悲劇的な死をとげた。しかし彼が残した資料は宮古研究の光源として、いまも宮古の島々を照らし出している。
いま蘇る宮古研究の先駆者ネフスキーの旅。日露の新資料が明かす「何故、宮古なのか?」。
付録として、ネフスキーの『宮古方言ノート』を駆使し訳した2論文収録(田中水絵訳)「(宮古の)病気治療」「神酒」。
序章 ネフスキーとの出会い―何故、宮古なのか
第1章 1892(明治25)年〜1919(大正8)年・夏
1.ペテルブルグ大学入学まで―ロシア艦隊―日本語教育
2.L.シュテルンベルグ教授―「民族・言語学的方法」
3.日本留学―民俗学者たちとの出会い
4.「大学への報告書」―『風俗画報』
5.帰国延期―『万葉集』
6.東恩納寛惇―先島地誌4種―『混効験集』
第2章 ネフスキーと黎明期の琉球・宮古研究
1.田島利三郎―『おもろさうし』『混効験集』「先島の歌」
2.『沖縄風俗図絵』―謎多き「宮古島言語」
3.伊波普猷―『古琉球』
4.知られざるドイツ人A.ウィルト―「新琉球諸方言」
5.先輩E.D.ポリワーノフ―「日琉語比較音韻論」
第3章 1919(大正8)年・夏〜1922(大正11)年・春
1.小樽赴任前夜―上運天賢敷―宮古方言
2.小樽―『混効験集』『おもろさうし』の学習―オシラ神研究
3.柳田国男の沖縄旅行―折口信夫の沖縄旅行
4.八重山の宮良當壮―日記
5.小樽高商のノート―宮古方言学習再開
6.冬の日記1―アイヌ語―宮古方言
7.冬の日記2―萬谷イソ―大阪へ
第4章 1922(大正11)年・夏
1.1回目の宮古調査旅行―折口信夫宛の絵葉書
2.富盛寛卓―採録の方法
3.ムナイ―サバニ
4.伊良部島―国仲寛徒村長
5.村長夫人の歌―小学校のベッド
6.佐良浜―会えない神カカリャ
7.佐良浜の結婚—佐喜眞興英—シマ
8.不明な足取り—下地島
9.狩俣―《根間の主》のアヤゴ
10.池間島―四シマ
11.多良間島―エーグ―《正月の歌》
12. 多良間の八月踊―組踊
13.水納島―百合若大臣
第5章 1922(大正11)年・秋〜1926(昭和元)年
1.沖縄図書館―伊波普猷―田島利三郎「宮古島の歌」
2.吹き続けたムナイ風―同志・宮良當壮
3.ティムバヴ―口頭発表「天の蛇としての虹の観念」
4.虹―ライバル・宮良當壮
5.親友・前泊克子―佐良浜の巴御前
6.「アヤゴの研究」―田島利三郎の研究の伝道者
第6章 1926(昭和元)年・夏〜1928(昭和3)年・春
1.2回目の宮古調査旅行―慶世村恒任
2.「宮古島子供遊戯資料」―島民の協力
3.『音声の研究』―台湾調査旅行
4.恩師シュテルンベルグとの約束―鷲信仰―《正月の歌》
5.「月と不死」―若水―折口信夫
第7章 1928(昭和3)年・夏〜1929(昭和4)年・秋
1.3回目の宮古旅行―平良の知識人―「白い鳥についての歌」
2.国仲寛徒―神祈りの文句
3.伊波普猷からの絵葉書―ポリヷーノフ先生のアドレス
第8章 1929(昭和4)年・秋〜2012(平成24)年
1.帰国―活動―日本旅行の申請
2. 二つ目の「天の蛇としての虹の観念」―消えた「ムナイ」
3.ネフスキーの死―死の真相―蘇った研究
4.宮古に帰ったネフスキー
―『宮古のフォークロア』『方言ノート』
5.生誕120周年サンクトペテルブルグ国際シンポジウム
―蘇るネフスキー
終章 何故、宮古なのか
■主要参考資料・文献
■田中水絵 ネフスキー関連論文
■ニコライ・アレクサンドロヴィチ・ネフスキー年譜―宮古研究を中心に
■付録1.論文「(宮古の)病気治療」(訳:田中水絵)
■付録2.論文「神酒」(訳:田中水絵)
あとがき
著者プロフィール
【著者略歴】
田中水絵(タナカミズエ)
静岡県浜松市生まれ。上智大学外国語学部ロシア語学科卒業。
著書共訳『沿海州・サハリン 近い昔の話 翻弄された朝鮮人の話』凱風社 1998年)
『奇妙な時間(とき)が流れる島サハリン』(凱風社 1999年)
『風に舞ったオナリ』(凱風社 2011年)
受賞 2013年 沖縄文化協会賞特別賞(ネフスキー研究)
●2022年10月 初版第一刷