• 『新相対性理論 物理的思考編』仲座栄三著

『新相対性理論 物理的思考編』仲座栄三著

978-4-89982-445-9

3,520円(内税)

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●A5判ソフトカバー 364ページ
●定価3520円(本体3200円+税)
●仲座栄三著
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相対性理論とは何であったか?
我々のこれまでの科学的常識が問われる


中学・高校程度の数学による手計算で実体験する新相対性理論
 原始時計の遅れ、彗星の近日点移動、衛星軌道追跡、ブラックホール、タイムマシン…の物理に迫る



●目次
はじめに 

第I部 新相対性理論歴史概観 
パラドックスとは?/時間の遅れとはどういうことか?/なぜ,時間の遅れがパラドックスなのか?/双子のパラドックスとは何か?/この問題に実験的に決着をつけようと試みた者はだれか?/パラドックスを主張する者達は,それで納得したのか?/物理学者らの高慢かつ高飛車な物言いは何の根拠によるものか?/学会等での取り扱いはどのようになっているのか?/アインシュタインの相対性理論の誤りを主張した物理学者/地上の原子時計は,いずこの原子時計に対して時を刻むものか?/遠隔作用としての時間の遅れ/重力による時間の遅れは4次元の歪んだ時空によることの証か?/ガリレイの振り子時計の時間の進みと,精密な原子時計の時間の遅れとが教えるものとは?/物理学実験の一切を説明し,パラドックスの類の発生しない,そして腑に落ちる理論の探究という選択肢はないのか?/新相対性理論着想の瞬間はいつ現れたか?/こんなことがあってよいものか?/アインシュタインの相対性理論のどこに問題があったか?/プライムの付く時間t’や長さx’は,どのようにして静止している者の時間や長さと関連づけられたか?/4次元の時空とは何であったか?/新相対性理論において,重力が作用する場合を取り扱う一般相対性理論はどうなるか?/結局,双子の年齢差はどのように解決されたか?/ニュートンの運動法則はどのように説明されるか?/一般の座標系における運動方程式/万物は我々に物理的探究を要請する

第II部 ガリレイ変換と物体の静止力学法則 ニュートンの運動法則の修正
ガリレイ変換/慣性系で静止している物体の運動法則/運動している物体の運動法則の検討/観測者に対して一定速度で運動する物の長さの計測/運動方程式のガリレイ変換が意味するもの/静止物体の運動の法則(ニュートンの運動法則の修正)/まとめ

第敬堯.▲ぅ鵐轡絅織ぅ鵑料蠡仞理論の論駁
1.アインシュタインの相対性理論の概要
ローレンツ変換/4つの式の意味/アインシュタインのローレンツ変換と相対性理論/相対性原理,光速度不変の原理/ローレンツ逆変換/時間と長さの相対論/同時の相対論/ミンコフスキーの4次元時空と不変量/4元ベクトル/4元速度/4元運動量/4元運動方程式/相対論的エネルギー/一般相対性理論
2.アインシュタインによるローレン変換の誘導法の確認 
長さと時間の相対性/同時の相対性/静止系から,これに対して一様な並進運動をしている座標系への座標および時間の変換理論/動いている剛体,ならびに時計に関する変換公式の物理的意味 
3.アインシュタインの相対性理論から派生されるパラドックス
双子のパラドック/落とし穴・ガレージのパラドックス/二人をつなぐ赤い糸の行方/回転できない回転円盤/一般相対性理論が説明する重力の作用によって歪んだ時空/まとめ

  
第IV部 新相対性理論 
1.序説
2.相対性原理とガリレイ変換
相対性原理/ガリレイ変換/相対論的な観測/マイケルソンとモーリーの実験/フィッツジェラルドとローレンツの短縮説/アインシュタインの登場/ガリレイ変換と新ローレンツ変換の調和的存在
3.動いているものの長さの測定法
観測者に対して静止しているものの長さの光測量/運動系の運動方向の長さの測定 /運動系の運動方向と直交する方向の長さの測定 
4.静止系から放たれた光は運動系内でどのような光の伝播となって観察されているか
運動系内で観測される静止系から放たれた光の伝播/運動系の運動方向と直交する方向の光の伝播/静止系の計測時間tと平均計測時間t の関係/新たなローレンツ変換式/近接作用としての新相対性理論,天動説と地動説の関係に例えられる旧理論と新相対性理論 
5.新たな相対性理論(特殊相対性理論)
慣性系の時間及び空間/新たなローレンツ変換(4つの式/新たなローレンツ変換が与える2つの式
6. 光の伝播に伴う相対論的不変量と4次元時空
光のヌル伝播/アインシュタインの定義との相異/新ローレンツ変換が与える不変量/光の速度はなぜ不変量を成すか?/光測量による測定値の客観性/数学的取扱い上の架空の4次元時空の設定/4元速度及び運動量/4元ベクトル /4元速度ベクトル/4元運動量ベクトル /4元運動方程式/相対論的エネルギー保存式
7.相対論的運動法則
相対性原理の下に成立する相対論的力学/従来のニュートンの運動法則/静止物体の運動法則(静止物体の速度獲得法則)/観測者に対して一定速度で運動する物体の相対論的運動法則
8.相対論的力学
相対論的慣性質量及び運動量/相対論的速度合成則/相対論的エネルギーの定義
9.相対論的電磁気学
マクスウェルの電磁場理論/光の赤方偏移(redshift/ブラッドレーの光行差/光の速さが一定値となって観測される理由
10.重力場における相対性論
数学的取扱いの便宜上設定される架空の4次元時空/電磁波的な重力の作用の発見/ニュートンの運動方程式から測地線方程式へ/アインシュタインのテンソル/エネルギー・運動量テンソルの定義とその微分/アインシュタインの重力方程式/シヴァルツシルトの解
  
第V部 演習 新相対性理論
1. 基本物理量と基本公式
物理量/新特殊相対性理論における時間及び座標の定義/新一般相対性理論における時間及び座標の定義/基本公式/1)特殊相対性理論の基本的公式/2)一般相対性理論の基本的公式/3)近似公式
2. 質量の周りに静止している観測者の測る時間及び空間長
異なる高さに静置された原子時間の時間及び振動数/東京スカイツリーでの実験/距離計測に及ぼす重力の影響/チェサピーク湾上空での実験/GPS衛星搭載の原子時計の振動数及び時間の変化/HafeleとKeatingの実験/重力場における半径方向の距離の光測量
3.重力の作用下での物体の運動
特殊相対性理論における慣性運動を規定する相対論的法則/重力が作用する場合の一般相対性理論における相対論的支配法則/角運動量の保存/重力場で半径方向に運動する運動系の運動方程式/1)無限遠で初速度ゼロの場合の運動/2)初速度を持つ場合/3)重力場に静止している観測者の測定する運動方程式/4)重力場で測定される運動エネルギー/5)重力の作用しない座標系から見た場合のエネルギー/重力場に静止している観測者が投じる物体の運動
4.角運動量を伴う運動
計測される時間及び距離の定義/人工衛星の周回軌道上の振る舞い/重力場で静止している観測者によって打ち上げられた人工衛星の挙動追跡/運動エネルギー・位置エネルギー・全エネルギー/ニュートン力学による有効ポテンシャルの復習/計算例1 (人工衛星の質量引力からの脱出の可否)/計算例2 (人工衛星の打ち上げ)/計算例3 (人工衛星の周回周期) /人工衛星の安定な軌道の検討/安定的な円軌道上の人工衛星の速さと最小半径/安定軌道のニュートン解と一般相対性理論の比較/不安定軌道上の人工衛星の速さ/ケプラーの第三法則/彗星の近日点移動/計算例4 (彗星の近日点の移動量)
5.光の伝播に及ぼす質量の影響
光及び重力波の伝播/質量Mの周りを伝播する光 衝突パラメータbの定義/光の伝播の軌跡/基準座標系の時間及び距離で計測する光の伝播/有効ポテンシャルを用いた光の伝播予測/重力による光の彎曲/計算例1(質量による光の彎曲)/一般相対性理論による彎曲角度/計算例2(太陽の質量による光伝播の遅れ)

おわりに



●はじめに

 人々はかつて静かな静止した宇宙空間を想像していた.その空間を絶対静止空間と呼び,それは光を伝播させるエーテルで満たされているとした.その頃,人々は光が波として伝播するものであることを知っていた.そして,光はエーテルが媒質となって伝播させるものである.そのエーテルに対する速度,すなわち,絶対静止空間で測られる地球の運動の絶対速度は,計測される光の速度の変化に現れると考えた.マイケルソンやモーリーらは,計測によってその光速度の変化を捉えようと試みた.実験結果は,予想に反して,地球の運動による有意な光速度の変化を捉えることはできなかった.フィツジェラルドやローレンツはそれぞれに,エーテルによって運動物体の長さはその運動方向に縮み,時間も遅れると想像した.このような考えを,ポアンカレも支持し,光速度が一定であることについての議論が行われた.そして,実験結果を説明するために,ガリレイ変換に代わるローレンツ変換が生まれた.
 一方,絶対静止空間に付随するという絶対速度の探究に対して,アインシュタインは,『相対性原理』を導入し,そのような試みを物理学に不要なものとして退けた.さらに,光速度に地球の運動の効果が現れないことの疑問にも,『光速度不変の原理』を位置付けて,その議論をも無用なものとして退けた.アインシュタインは,それら二つの原理に基づいて相対性理論を提示した.その結果,ニュートン以来,我々が想像していた時間と長さの不変性は物理学から退けられ,時間と長さの相対論が物理学に位置付けられた.こうして,アインシュタインの相対性理論は,フィツジェラルドやローレンツ,そしてポアンカレらが議論していた相対論の形に仕上がった.
 アインシュタインの相対性理論によれば,ある慣性系で測った物理量の値は別の慣性系で測ると必ずしも同じものではなく,それらの間にある換算法則が存在する.その換算法が,アインシュタインの時間と長さの相対論を規定するローレンツ変換である.ローレンツ変換によれば,相対速度によって時間が遅れ,長さが縮む.これにより,これまで存在したガリレイ変換は退けられて,ローレンツ変換が正しい変換に位置付けられた.だが,このことは,双子のパラドックスなど,時間と長さにまつわる各種のパラドックスを派生させることとなった.物理学界がこれまでに行ったおよそ全ての実験結果は,アインシュタインの相対性理論の正しさを実証するものとなっている.今日,アインシュタインの相対性理論は,疑う余地もないものとして物理学界に受け入れられるに至っている. 
 物理学実験結果のおよそ全てが,アインシュタインの相対性理論の正しさを示すものであったとしても,パラドックスの存在を主張する者達が後を絶たない状況は,これまで続いてきた.これに,現代物理学界は,物理学離れした単なる「言い掛かり」として,切り捨ててきた.
 しかし,ついに,アインシュタインの相対性理論の誤りがここに明らかにされる.アインシュタインの相対性理論の問題点は,やはり,双子のパラドックスなど,それに伴う各種のパラドックスにその片鱗を垣間見せていた.
 結局のところ,アインシュタインの相対性理論は,その前身であるフィツジェラルドやローレンツ,そしてポアンカレらが想像したものでしかなかった.その結果,ガリレイ変換はローレンツ変換で置き換えられ,時間や長さはそれによって相対的なものとして定義された.その結果,ニュートン力学で位置付けられていたガリレイ変換に基づく不変的な時間及び長さの概念は,物理学から退けられた.
 2014年,本書の著者である仲座は,ガリレイ変換を相対性理論構築の基盤として位置付け,物理学から退けられていた不変的な時間と長さの概念を再び物理学に位置付けた.逆に,アインシュタインが導入した光速度不変の原理が,相対性理論構築の過程から退けられた.ガリレイ変換に基づく時間と長さの概念が,新たな相対性理論を生み,光など電磁波の伝播に伴う伝播時間及び伝播距離が,相対論的なものとして現れた.
 すなわち,新たな相対性理論は,相対速度の存在あるいは重力の作用下の電磁気理論として現れた.新たな相対性理論は,いかなる状況に対しても相対性原理を満たし,パラドックスの類が派生する隙を与えない.また,アインシュタインが想像した4次元の時空は,数学的な取り扱いの便宜上導入される単なる架空の4次元時空となった.実在するのは,三次元の空間とそれに独立した時間となる.
 したがって,実際に存在する空間に質量の存在による歪みが現れることはない.空間は,三次元のデカルト座標をもって表すことができる.すなわち,我々が計測する時間や長さは,物理学的に定義される時間の単位及び長さの単位をそれぞれ不変的なものとして用いて測られるものである.光の伝播は,相対速度の存在あるいは質量の存在によって,その振動数や波数にredshift(二次シフト)を受ける.このことが,これまで測定されてきた時間遅れや長さの短縮,そして光が不変となって観測されることの物理学的なメカニズムである.
 質量の存在は,粒子の運動軌道のみでなく,光など電磁波の伝播軌道をも曲げる.それは,光の伝播に重力赤方偏移が現れることが要因である.一般相対性理論において,特筆されるべき点は,質量の存在による重力の作用も光など電磁波の伝播と同様に,光の速さを持って波として伝播するものであることを明らかにしていることである.そのことの証は,彗星の近日点の移動に具体的に見ることができる.
 従来のアインシュタインの相対性理論で,最も知られる式としてがある.これまで,この式は物質の持つ静止エネルギーと位置付けられてきた.しかし,新相対性理論では,質量の粒子が光速度を有する場合の運動エネルギーとしてその定義を改められ,光や粒子の相対論的エネルギーを議論する上での基準として位置付けられる.それは時間や長さの計測に光など電磁波を用いていることによるものであり,相対性理論が光の伝播を基準として構築されていることによる.
 また,光の速度は粒子速度の限界を意味しない.光の速度は,光など電磁波を用いた計測に対する測定限界速度,あるいは一般相対論的に重力の及ぶ限界速度を意味するのであって,相対性理論が粒子速度の限界に関与することはない.
 ここに,従来のアインシュタインの相対性理論とはおよそ真逆となる相対性理論が誕生する.それに物語的な要素はなく,物理現象の一切を物理学の探究対象として位置付ける内容となっている.我々は,こうしてパラドックスに悩まされることはもう無くなった.
 この書には,こうした物理学における相対性理論の革命の歴史概要,従来のアインシュタインの相対性理論の問題点,そして新たな相対性理論の概要と演習が説明されている.
 本書では,第I部において,パラドックスの解決の視点から相対性理論の歴史的概要について述べる.第II部においては,ガリレイ変換やそれに基づくニュートンの運動法則の修正について説明する.第III部にいては,従来のアインシュタインの相対性理論及びその問題点について説明する.第IV部においては,アインシュタインの相対性理論を論駁し,新たな相対性理論について説明する.第V部は,新相対性理論をどのように使うかの演習に当てている.第Vで展開される演習については,その多くの計算対象を,解説書(一般相対性理論入門―ブラックホール探査―,エドウィン・F・テイラー,ジョン・アーチボルド・ホイーラー著(牧野伸義訳,株式会社ピアソン・エディケーション発行,347p,2004年)を参考にしたものとなっている.しかし,その計算過程や議論の内容は,新相対性理論に従うものとなっている.
 アインシュタインの相対性理論では,相対速度の存在や重力の存在で短縮や歪んだ時空を想像し,それに無条件に従う力学が議論される.新相対性理論を対象とする第V章における演習では,粒子の運動,光の伝播が,それぞれ静止系におけるニュートンの運動法則及びマクスウェルの電磁場理論など力学に基づいた運動を基本とする.その上で,動いている物や重力場の力学が,光など電磁波計測に基づいて解析される.このことが,新相対性理論を成す.
(後略)

■著者紹介
仲座 栄三(なかざ えいぞう)
1958年  宮古島に生まれる
2005年  流体の支配方程式を修正する
弾性体の支配方程式を修正する
2014年 相対性理論構築の基盤としてガリレイ変換を位置付ける
     ローレンツ変換を相対論的電磁気学の基礎として位置付ける
現在に至る

著書:『物質の変形と運動の理論』(2005),『新・弾性理論』(2010),
『相対原理に拠る相対性理論』(2011)『新・相対性理論』(2015)