• 『共通語でひける シマクトゥバ単語BOOK 沖縄中南部編』沖縄県文化協会編・監修 狩俣繁久・国吉朝政

『共通語でひける シマクトゥバ単語BOOK 沖縄中南部編』沖縄県文化協会編・監修 狩俣繁久・国吉朝政

978-4-89982-464-0

1,760円(内税)

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・四六判 140ページ 
・定価1650円(本体1500円+税)
・沖縄県文化協会編 監修 狩俣繁久・国吉朝政
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「あれっ、沖縄の言葉で何て言うんだろう?」
そんな時共通語からひける便利なシマクトゥバ単語集
約3000語のシマクトゥバを収録



「シマクトゥバ」は沖縄のそれぞれの「地域」のそれぞれの言葉。
本書は沖縄本島の中南部地区(那覇や首里言葉を中心に)のシマクトゥバを共通語の50音順に収録。
たとえば
・ヤギ    → フィージャーあるいはヒージャー
・しゃっくり →サッコービ
・正直者   →マットーバーあるいはマクトゥー


本書より

シマクトゥバって何?


シマクトゥバは故郷クトゥバ
 首里方言を収録した『沖縄語辞典』(1963)は「シマ」を「‖捨ぁI落。故郷。出身の部落。N涼蓮C旅埣蓮づ隋3い飽呂泙譴薪隋」と記している。「シマ」は、「集落」や「故郷」を表す。「島」は『沖縄語辞典』では「ハナリ」である。シマクトゥバは「故郷」のことばであり、「地域」のことばである。「島クトゥバ」ではない。
 次の例は、近接する恩納村の集落のシマクトゥバである。「集落が違えばことばが違う」といわれるが、集落ごとの言語差が分かる。各地に同様の例が見られる。
 「若い ときは  みんな・で  船を 漕いだ。」
・ワカサヌ バーヤ シンカ・ジ  フニ クーダン。  (名嘉真)
・ワカサヌ バーヤ ムル・サーニ フニ クージャン。 (安冨祖)
・ワカサヌ バーヤ 'ンナ・シ   フニ クーザン。 (南恩納)
・ワカハヌ バーヤ ムル・ヒチ  フニ クジャン。 (谷茶)
・ワカサヌ バーヤ 'ンナ・サーンカイ フニ クジャン。 (塩屋)

シマクトゥバは故郷の文化
 シマクトゥバは地域の人々が共同生活の中で継承してきた歴史的な存在であり、集団に共有される文化である。シマクトゥバには地域の人々の暮らしぶりや自然との関わり方が刻印されている。
 先人たちは、アキノワスレグサ(ワスレグサ科の多年草)を食べるとよく眠れることを経験的に知っていて庭に植えていた。睡眠改善効果のあるこの花にニーブヤーグサ(居眠り草・名護市幸喜)、ニーブイハンソー(居眠り甘草・恩納村恩納)と名付けて、若い世代に伝えたのである。
 西原町小那覇では夏の日中に次のような会話があった。
「ナマ ハルカイ イケー ティーダマキ スンドー。」
 (今 畑に 行くと 熱中症〔太陽負け〕に なるよ。)
「ティーダ ネーラチカラ イチュサ。」
 (太陽を 萎えさせてから 行くよ。)
 熱中症という単語が無かった時代に「ティーダマキ」という単語を創出したり、「ティーダ ネーラチカラ」というダイナミックな表現をしたりしたのも、地域の人たちの自然との関わり方を示している。
 沖縄風丸ドーナツはサーターティンプラ、サーターアンダアギ、タマグティンプラなどと呼ばれる。貴重な砂糖の入った天ぷらと認識したのがサーターティンプラ(砂糖天ぷら)で、砂糖の入った油揚げと認識したのがサーターアンダアギ(砂糖油揚げ)で、卵の入った天ぷらと認識したのがタマグティンプラ(卵天ぷら)である。認識の違いが方言名に反映される。
 シマクトゥバと同じく暮らしぶりもシマごとに違う。シマで暮らし、子どもたちを育ててきた祖先たちの経験と知識が積み重ねられたシマの文化とシマクトゥバを断絶させずに未来の若者に残さなければならない。

本書の表記について
 本書は、『しまくとぅば単語帳9級』『しまくとぅば単語帳8・7級』『しまくとぅば単語帳6級』『しまくとぅば単語帳5級』を元に加筆修正しシマクトゥバに不慣れな方の利便性を考慮して共通語を見出しにした単語帳である。
シマクトゥバの表記には沖縄県文化観光スポーツ部のもとに設置された「しまくとぅば正書法検討委員会」が定めたカタカナによる表記法を用いた。*1
 方言の表記にカタカナを用いるのは、ひらがなに比べて表音性が高いこと、文章の中で日本語とシマクトゥバが同居しても混乱しないこと、児童生徒へのひらがな指導とカタカナ指導で混乱を招かず効率よく指導できること等が理由である。
 五十音図等に無い発音を次のように表記した。
・喉頭化音*2  ʔワー( ʔwa:) 。ʔヤー( ʔ ja )
・緩やかな声立て*3 'ウ('u) 。'イ('i)。'ン('N)
・唇音化した音  クァ(kwa)。クィ(kwi)。ファ(hwa)。フィ(hwi)。

狩俣繁久




■編著者プロフィール
沖縄県文化協会(おきなわけんぶんかきょうかい)
沖縄県文化協会は、1994年3月に設立され、1995年3月には県内各地の言葉を聴いて楽しむイベントとして第1回目の「しまぬくとぅばさーに語やびら大会」を開催した。その後「しまぬくとぅば語やびら大会」「しまくとぅば語やびら大会」と名前を変え、それぞれの地域の個性を競うのではなく、認め、楽しむイベントとして続け、令和6年度には第29回を迎える。2017年からは、しまくとぅば普及センターの運営事業を沖縄県から受託し、普及に取り組む市町村文化協会をはじめとした関係機関と連携を図りながら、県内のしまくとぅばの普及に取り組んでいる。
〒900-0021 沖縄県那覇市泉崎1-2-2 文化振興課内
電話 098-867-4746

監修
狩俣繁久(かりまたしげひさ)
言語学者、琉球大学名誉教授、しまくとぅば普及センター長

国吉朝政(くによしともまさ)
那覇市首里出身、NPO法人沖縄県沖縄語普及協議会

■2024年4月発行