仲座栄三著/B6判・88頁/定価1,575円(税込み)
有名なアインシュタインの相対性理論の学ぶことにより、科学的な思考法を知る。
アインシュタインの相対性理論はそのほとんどが四則演算とルート演算からなっているので、一部をのぞき中学校で習う程度の数学力で理解できるもので、物理の教材としてだけでなく、一般の方にも手にとってもらいたい一冊。
ローレンツの時代、光は静止空間に閉じ込められていた。「光は自由な身である」とポアンカレは予想した。アインシュタインは、マイケルソンとモーリー、ローレンツ、そしてポアンカレに到る大予想問題を解いたと宣言した。ついに、光は自由の身となったかに思えた。アインシュタインの解は2つの原理に拠っていた。しかし、それらの原理は一見して互いに矛盾する内容にあった。そうでないのなら、蛇足的に二重の宣言となっていた。光は「光速度不変の原理」によって自縛の身にあったのである。ここに、それらの矛盾がついに解消される。
目 次
序
1章 相対性理論の誕生とそれまでの物理的世界観
1.1 相対性理論の変換式に現れる唯一の関数ルート(√)
1.2 速度の基準とニュートンの運動の法則の成立
1.3 相対論的考え方
1.4 想像されたエーテルの存在
1.5 マイケルソンとモーリーの実験
1.6 ローレンツの考えたエーテルの風圧による空間の収縮説
1.7 ポアンカレの主張
2章 ニュートン力学に対する相対性理論
2.1 慣性系
2.2 相対性原理
2.3 ガリレオの相対性理論
2.4 ニュートンの運動方程式のガリレオ変換
3章 相対性理論の構築
3.1 アインシュタインの相対性理論の概要
3.2 アインシュタインの光速度不変の原理に対する考察
3.3 時間の定義と離れた2点間における同時刻の定義
3.4 同時刻が成立しない場合における時計の修正法
3.5 マイケルソンとモーリーの実験の目的
3.6 地球上に静座する観測者の空間と時間
3.7 相対性原理の導入
3.8 地球上に静座する観測者の見る移動慣性系内の空間・時間・光の速さ
1)地球人が遠隔的測量によって観測する移動慣性系内の移動方向の距離及び時間
2)移動慣性系の移動方向と直交する方向に行われる測量
3)地球から遠隔測量によって移動系の移動方向に測られる移動系の空間の長さ
3.9 相対性原理に基づく相対性理論の物理的考察
1)マイケルソンとモーリーの実験結果に対する考察
2)同時刻の係わる問題,ロケットを結ぶ赤い糸
3)地表上で観測されるミューオン
4)速度の合成
5)浦島太郎効果
6)マクスウェルの電磁場理論の変換
7)物質の質量とエネルギー
3.10 地球上から観測される移動慣性系及び加速度や重力を伴う系内の空間と時間
3.11 おわりにあたって
著者略歴
仲座 栄三(なかざ えいぞう)
昭和33年 沖縄県宮古島にて生まれる
昭和60年 琉球大学工学部助手
平成 8年 同学部助教授
平成18年 同学部教授
平成20年−22年 琉球大学島嶼防災研究センター長
平成22年−現在 琉球大学 学長補佐
著書『物質の変形と運動の理論』(ボーダーインク,2005)
『新・弾性理論』(ボーダーインク,2010)
2011年8月発行