うちなぁ筆先三昧 随筆・巷ばなし
上原直彦著
四六判 256頁
軽妙洒脱な沖縄エッセイ
至福の直彦ぶし
〈ちゃめ!〉
琉球新報で連載されて大好評だった随筆の待望の単行本化。
うちなーぐち、琉歌、黄金言葉、出会った風景と人々など、
次々とあふれ出る自由自在の四方山話まんさい。
読むローカルラジオ番組といった案配です。
琉球放送 RBCiラジオ 上原直彦『民謡で今日拝なびら』放送半世紀記念!
印象的な写真は、カメラマン・國吉和夫氏の作品です。
すばらしいです。
目次
序 至福の「直彦節」三昧を
第一章 ウチナーグチのある風景
第二章 ウチナー乗り物記聞
第三章 レトロ風おきなわ
第四章 人生は旅の如く
出会い 縁は深きもの
あとがきにかえて 放送キャスター以前
「ウチナーグチ/実践こそ消滅の歯止め」
やはりウチナーグチは、耳に快い。
うるま市与那城の故長濱昌吉さん(享年94)は、若い時から海を相手にしてきた生粋のウミンチュ(海ん人・漁師)。小型漁船を操って中部の東の海を知り尽くしていた。その昌吉翁が一日のウミワジャ(海業)を終えてユーバン(夕飯)をとるとき、食卓に載ったものが特別な料理ではなくても、おいしいと感じると決まって発する一言があった。
「喉ぬ名護までぃ 有てーれーやーぁ!」
おいしいモノが通る喉が遠く北部の名護まであったら、この旨味を長く味わえるのにと願望したのである。理屈として人間の喉・食道が中部うるま市から北部名護市まであってはたまらないが、おいしいモノを長く味わいたいとするこの表現は、意を得て妙。最大級の形容と言えないだろうか。この一言を孫娘がしっかりと受け止めていて、祖父の思い出ばなしとともに語ってくれた。心の中が温かくなる思いで聞き都度、私も引用させてもらっている。
……つづく……
上原直彦(ウエハラナオヒコ)
昭和十三年(1938)那覇市垣花生まれ。琉球新報社記者を経て琉球放送入社。役員待遇ラジオ局長を務め、平成十年退職。現在もプロデューサー及びキャスターとして、ラジオ番組「民謡で今日拝なびら」(1961年スタート)「ふるさとの古典」などをレギュラーで担当。島うたの作詞家、郷土劇の脚本家としても長年にわたり活動を続けている。「ゆかる日まさる日・さんしんの日」を平成四年に提唱し現在も継続中。北村三郎・芝居塾「ばん」学長。
著作『島うたの周辺・ふるさとバンザイ』『浮世真ん中』『琉歌百景』など、脚本「辻騒動記 女の戦争」「琉球粋人伝 渡嘉敷ぺーくー物語」など、作詞「やっちー」「丘の一本松」「遊び仲風」「はーえーゴンゴン」など多数。