• 『カンナジ笑う!うちなーぐちFax小全 3(み-ち)』ラジオ沖縄「前田すえこのいいことありそうウィークエンド」沖縄探検隊編

『カンナジ笑う!うちなーぐちFax小全 3(み-ち)』ラジオ沖縄「前田すえこのいいことありそうウィークエンド」沖縄探検隊編

4-89982-001-1

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ラジオ沖縄「前田すえこのいいことありそうウィークエンド」沖縄探検隊 編 四六判 288 頁

うちなーぐちをテーマにリスナーから寄せられた傑作ファクシミリの数々。第3弾。

[目次]
★1997年度テーマ
うたとーん 疲れた/うぇーき 裕福な人/やまとぅたび ヤマトへ行くこと/ 貧乏/いーたん もらった/わしとーたん 忘れてた/ちゅらさ 清らかな美しさ/にんららん 眠れない/なーら まだまだ/ちむぐるさん かわいそう/ぬするーびさ 忍び足/しちょーる 知人/あんいちん、あみ そんなことってあるのか/ちじ 比較して悪い/しーじゃ 年上、先輩方/ぬらーたん おこった/しぇけんうせーてぃ 世間をなめている/いきがんちゃー 男達/むとぅびれー 昔の恋人/
 
1998年度テーマ
 しむさ いいってことよ/うーさん・いきらさん 多い・少ない/くさぶっくわー生意気な人/くんばる ふんばる/あたらさー 大事にする/ちむがかい 心配事/なんくるないさ 自然にどうにかなるさ/あっちゃん 行った、通った/まんどーん いっぱいある/じょーじ 上手・うまい/てぃがねー ちょっとしたお手伝い/ぐー 仲間を組み/ねーびー 真似をする/かめーたん 手に入れた/あびやー よくしゃべる/たましぬがすん とてもびっくしりした/わじわじー 怒る様/あわてぃーはーてぃ 急いでいる/しわぐとぅ 心配事/みーむん 新品・新製品/じょーぐー 好物/そばじょーぐー 沖縄そば大好き人/いらんけー しむたるむん 言わなければよかった/にーびち 結婚の儀式/どぅーふみー 自画自賛/ちん 着物/むとぅびれー 元の恋人

★1999年度テーマ
カリー 嘉利/ちゃーないがやー/ちちゃしが じゅんにやがやー いたけれど、本当かしら/わじゃ 技・仕事/でーだかー 値のはるもの/してぃほーりー 放りぱなし/ちょーでー 兄弟・姉妹/たんちゃー 短気な人/なー&のーじ 名前と苗字/ごーやー ニガウリ/やーにんかからんぬー 家にいない人/やったーやー 我が家/あがぁー 痛い/かっこちきやー カッコをつける人/むちかさん 難しい/くんち 根気/たしま ゆぬしま よそのしま、同じしま/とぅじ 妻/なーひん もう少しだけ/えーじ 合図/ぱっべー ミステイク/沖縄そば 沖縄大衆食の王様/やーがわっさん、わーがわっさたん お前が悪い、オレが悪かった/へーさん 早い/はじかさたん 恥ずかしかった/むとぅびれー 元の恋人/

2000年度テーマ
 かりー ラッキー/ンパンパッ いやだいやだ/かんなじ かならず/えーかんちゃー親戚/でーじなたん 大変な事になった/すーじ・すーこー 冠婚葬祭/まちやぐゎー 沖縄式雑貨店

あとがき
十一年目のいいことありそうスタッフのいい話


ボーダーインク旧HP「今週のこの一冊」より

地上には星がある。倉庫に埋もれた本もある。
そんな本に光をあてるべく企画した新コーナー。ボー
ダーインクのスタッフが、持ち回りで自社の本を書評しちゃいます。


こんにちは、沖縄出版界の若手・新城和博です。
  今回は、 もうみんなが忘れてしまったかも、と思いつつ書きましょう。
 ボーダーインクが創立した九〇年から、僕はラジオ沖縄の土曜日朝の番組にレギュラーとして、出演することになった。「前田すえこのいいことありそうウィーク・エンド」という、フリーアナウンサーの前田すえこさんの番組に、毎週登場するゲストみたいな感じで、おしゃべりの相手をするのだ。
 なぜそういうことになったのかといえば、僕の華麗なしゃべりにディレクターがぜひ、と頼んだのではもちろんなくて、当時例の「おきなわキーワードコラム」で、あちこちのテレビラジオに宣伝をかねてたくさん出演していて、その「いいことありそう」では、本のコラムを紹介したり、第二弾のコラムをリスナーから募集したりと、いろいろイレギュラーで出演していたのが、そのまま毎週登場することになったのである。
  ちなみに、当時僕は金曜日に沖縄テレビの生放送「うちなー待夢」という寺田麗子アナの番組に出演していて、とうぜんのごとく金曜日の夜はほぼ毎日飲んでいたので、最初の一年間はだいたい二日酔いで、朝の九時からラジオでしゃべっていたのだ。
 僕はいわゆる「てーてーむにー」でぼそぼそとしゃべる方なので、まぁよくやっていたと思う。人前でしゃべるのは今もとても苦手である。だからラジオのスタジオでしゃべるのは逆にとても楽だった。
 で、その「いいことありそう」ではしばらくして、自然発生的にひとつのコーナーが始まった。それは、ラジオのリスナーにひとつのうちなーぐちのお題を出す。そのテーマに基づいた体験談やらなにやらをリスナーが生放送の間に文章を書いてファックスしてくる。それを番組内ですぐ放送していく。というもの。
 つまり「キーワードコラム」のラジオ版みたいなものだ。その朝にお題を出すので、すぐ都合のいい話がくるのかなーと思ったら、これがくるわくるわ、とにかくおもしろい話がたくさんファックスされてくるのである。僕は前田さんやアシスタントの女の子が読むその作品に、つっこんだりひっこんだりのコメントをてきとーにしゃべっていく、そりゃなかなか気楽で楽しいものであった。
 結局このコーナーは番組の核となって、僕は当初九時から十一時までの出番だったのが、結局番組の終わりまで参加することになった。
  くすっていう笑いから始まって、大爆笑あり、はらはらどきどきの恋の話、夫婦の話、涙涙の情け話……まぁ実にいろいろ集まってくるのである。仕込みなしでまったくの他力本願なその場かぎりの放送なのであるが、どんなお題でもそれなりの作品が寄せられた。
 結局僕はその番組を2002年の春まで出演するとこになるのだが、その間にリスナーから寄せられた作品をもとに、ボーダーインクから本を三つも出版したのである。
  それが「笑う! うちなーくぢFAX小全」シリーズである。  
 テーマがうちなーぐちなので、沖縄人はもちろん細かいニュアンスを「わかる、わかるー」と受けたり、逆に知らない言葉や違うニュアンスでとらえていたことを知ったりと、けっこううちなーぐちの勉強になるのだ。
 にしても、結局、集められた沖縄の人々の、あまりにもおもしろい体験の数々が、この本の魅力である。ちょっと泥くさくて、生々しい、リスナーからの便りに、僕はいろいろ感動してしまったもんである。たくさんのFAXから選ぶのはそれなりに大変だが、それなりに笑える作品が集められたと思う。
  12年も、土曜日の朝ずっと生放送していたなんて、今考えると「そうだったかなー」と不思議な気持ちになる。終わってしまったら、人間あっさりわすれるもんだねー。でもあの時間だけは、一週間のどの時に属していない感覚で、ただスタジオでファクスを読んだりするだけの、それだけの人だった自分がけっこう気持ちよかったかもしれない。
 番組は今ももちろんつづいていて、今も「今週のお題」としてリスナーからFAXを募集している。僕は辞めてからは一度も番組を聞いたことがない。あんなFAXを送ってくれたリスナーたちが、同じ沖縄の空の下にいるってことが、まだどこか信じられない気分でいる。    土曜日の朝の生放送だった僕の時間は、もう二度とないだろう。それも不思議だ。
 というわけで、実はこのシリーズなかなか人気で、第一弾は一万部以上売って今はもう在庫なし。第二弾も在庫なし。というわけで今回貴重な第三弾を皆様にお勧めします。うちなーぐちを気楽読んで、楽しむのに、ぴったり本だはず。おすすめだよ。ちなみに「小全」とは、「大全」に対抗した造語であります。
                        新城いぢめるいぢめる?和博


■発行:2000年7月7日