• 『沖縄まぼろし映画館』平良竜次+當間早志〈NPO法人シネマラボ突貫小僧〉著

『沖縄まぼろし映画館』平良竜次+當間早志〈NPO法人シネマラボ突貫小僧〉著

ISBN978-4-89982-265-3

1,980円(内税)

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A5判 184頁

映画館には戦後オキナワの熱気があふれていた
探訪記と写真で知る、驚きの戦後復興史

第二次世界大戦で大きな被害を受けた沖縄で、傷ついた人々の心をいやしたのが芝居や映画などの芸能文化であった。役者たちによる芝居公演は行く先々で熱烈な歓迎を受け、収容所を巡回して行われたフィルム上映は、苦しい捕虜生活を送る人々にひとときの娯楽を提供した。

やがて、芝居や映画のための露天劇場がつくられ、さらにテント屋根、瓦葺き、木造の館ができ、沖縄は映画の黄金期に向かって走りだす。宮城嗣吉・高良一・国場幸太郎・宜保俊夫ら、希代の〈映画人〉たちの活躍もあって、1960年のピーク時には館数が120に至ったという。

館のある周辺は多くが繁華街として賑わい、「国際通り」「沖映通り」などのように、通りの名称を映画館からちょうだいしたケースも多い。映画館は沖縄の復興を名実ともにリードしたと言えるだろう。

本書はそうした沖縄の映画興行史がよく分かる「通史」から始まる。本編では、映画館の跡地をめぐる旅や現存する映画館の取材、ならびに関係者への聞き取りによって書かれたルポルタージュが50編。当時の様子がわかる貴重な写真も数多く掲載されている。さらにコラムとして、映画史を語るうえで欠くことのできない〈沖縄映画人〉らの逸話も収録した。

戦後オキナワの活気、映画人らのドラマティックな活躍、映画館の栄枯盛衰とノスタルジー。「娯楽の殿堂」をめぐる思いがたっぷり詰まった一冊。

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●目次
まえがき 
『沖縄まぼろし映画館』マップ 

『沖縄まぼろし映画館』通史 

【那覇・南部篇】
首里劇場/アーニーパイル国際劇場/平和館/国映館/桜坂シネコン琉映/オリオン座(桜坂オリオン座)/グランドオリオン/沖映本館/沖縄東宝劇場(大宝館)/南映劇場(南映館)/開南琉映館/大洋劇場(琉球映画劇場)/中央劇場/沖縄劇場(栄町琉映館)/あけぼの劇場/寄宮国映館/首里有楽座/安謝劇場/ペリー劇場/小禄劇場/糸満映画館通り/新世界館/馬天劇場/西原劇場 
  
【中部篇】
ピカデリー国映館/パルム座/島袋琉映館/ゴヤオリオン座/中部沖映館/コザ琉映館/第一セントラル琉映館/十字路オリオン座/「浦添琉映館」と「浦添沖映館」/浦添オリオン座/普天間琉映館/フォスターシアター/謝苅琉映館/ナポリ座/桃原劇場/嘉手納沖映館/嘉手納国映館/平良川琉映館/屋慶名琉映館/平安座劇場/石川琉映館

【北部篇】
金武琉映館/名護琉映館/本部沖映館/今帰仁沖映館/辺土名劇場
 
【コラム】映画人烈伝
1 宮城嗣吉/2 高良一/3 国場幸太郎/4 宜保俊夫 

あとがき 
取材協力/参考資料・文献/参考ウェブサイト
[補遺]簡易年表 


●著者略歴
平良竜次(タイラリュウジ)
「NPO法人シネマラボ突貫小僧」代表。1974(昭和49)年、「首里劇場」から約800メートル離れた首里金城町に生まれる。高校3年生で「映画サークル突貫小僧」に参加、映画評論や紹介文を書くようになる。その後、週刊レキオ社で原稿書きや写真、DTPを学ぶ。退社後はライターやカメラマンをしつつ、「シネマラボ突貫小僧」の活動を今に至るまで続ける。現在「首里劇場」から約400メートル離れた首里赤平町に暮らす。

當間早志(トウマハヤシ)
映画監督・映像作家。1966(昭和41)年生まれ、那覇市小禄出身。「映画サークル(現・シネマラボ)突貫小僧」創立メンバーで、映画に関しては批評、上映、製作…など、あらゆることをそれなりにこなせる器用貧乏。1999年に開催した「アメリカン・ショート・ショート映画祭」の第1回の実行委員長。監督作品に『はれ日和』(1988年)、『パイナップル・ツアーズ』(1992年)、『探偵事務所5・マクガフィン』(2006年)、『琉球カウボーイ、よろしくゴザイマス。』(2007年)がある。

NPO法人シネマラボ突貫小僧(トッカンコゾウ)
1988(昭和63)年、映画支援の上映イベント「シネマエイド'88」を行った中心メンバーによって結成。「映画は映画館で見たい」を合言葉に、映画製作や上映会、トークショー、Ustream番組など、沖縄と映画にこだわった活動を行う。メンバーを経てプロの映画監督になった者は5人を数え、クリエイター育成にも貢献している。

●2014年11月 初版第一刷発行