• 『ぼくの〈那覇まち〉放浪記』新城和博

『ぼくの〈那覇まち〉放浪記』新城和博

978-4-89982-278-3

1,760円(内税)

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ぼくの〈那覇まち〉放浪記 追憶と妄想のまち歩き・自転車散歩
新城和博
四六判 224頁

古い地図と記憶を片手にほろほろ歩いた
待望の〈那覇まち〉エッセイ

変化する街、失われた町、それが〈那覇まち〉。
沖縄・那覇生まれ育ちの著者が、復帰後の那覇、戦前の那覇の風景、痕跡をもとめて、ひとりほろほろと歩いて綴った待望の〈まち歩き〉エッセイ。


琉球王朝時代からの歴史ある港町、沖縄一の市場を抱えた那覇は、戦争で消滅しました。アメリカ統治下、復帰後と復興・発展した那覇は、懐かしくて新しい姿をしています。〈那覇まち〉の戦前の古い地図と復帰後の記憶を片手に、ご近所のすーじ小(路地)の角を曲がって、まち歩き・自転車散歩(ポタリング)したら、切なくも新しい風景が見えてきました。
沖縄の現代史を個人的な記憶・体験とクロスして軽妙な筆致で綴った『ぼくの沖縄〈復帰後〉史』に続く、硬軟織り交ぜた沖縄を語るエッセイ。〈那覇まち〉の風景写真多数収録。まち歩き、沖縄・那覇の旅のウラガイドとしても最適……かも。



この数年ずっと、歩きながら、漕ぎながら、そんなまちの歴史を追体験をしていた。
僕はほとんど旅をしない人間なのだが、まるで時をこえた旅をしたようだった。自分のまちをそんな風に楽しめるとは思ってもみなかったことだ。『那覇市史』の「旧那覇の歴史・民俗地図」をトレーシングペーパーにコピーして、現在の地図とスケールを合わせて重ねる。透けてみえるのは、那覇のまちの変貌。失われた風景ではあるが、その二つの地図を持ち、ひとり静かにまち歩き、ポタリングを重ねて、〈町殺し〉の記憶だけでなく、新たなまちの記憶を刻みたいと、今は思う。那覇のまちを歩くのは依然として、楽しい。

●目次
まえがき 〈那覇まち〉を、ほろほろと放浪する 

すーじ小の角を曲がって 2007〜2009
 開南のバス停から街に出かけたころ/むつみ橋通りの空き地/ボーダーとして電柱通り/与儀に隠れていた小さな川の名前/「街のほくろ」の記憶/墓の境界線をすたりすたりと/そこに映画館があった/今はもうない首里のトックリキワタ/市場に本屋があった頃/錆びていた体育館のカマボコ屋根/崖の上のナファ 

那覇の町を後ろ向きに漕いで渡る 2011〜2014  
 壺川ホウホウ/松川の橋を渡る/今はない岬めぐり/オキナワノタキ/そこに町家があった/橋の怪「仲西ヘーイ」/落平樋川でつかまえて/「本の駅」でひとやすみ/雪の岬に立つ/街をかける釣り人/今はなきカツオ節屋/書を持ち、幻想の街・那覇へ/哀愁の那覇ぬ町に霧が降るのだ(上)

そこに街があった 宮城県沿岸を訪ねて/三重グスクの先にあるもの/妙に広々としたネイキッドな街角/アフタヌーン・イン・サクラザカ/泊港で読書/虹と堤橋の頃 美栄橋界隈/読書電車で妄想中 ゆいレールの一番前の席/消えた那覇の坂/那覇市役所も遊び場だった

『ふりだしに戻る』に戻りたい/マチはいつも通りで 沖映通りえきまえ一箱古本市/廃屋の彼方へ 久茂地界隈/雨に濡れても 牧志ウガン界隈/マージナルな天久の崖/黙認耕作地は自宅あとだった/芳子と・石ブラ・散歩 辻町・西町・東町/下泉で恋をして 山之口貘の青春

ハート仕掛けの新屋敷/那覇市歴史博物館の外で/開南ラプソディ/若狭の風をあつめて/台風たぬきがやってきた 首里・弁が岳/貘の「見えないものを見た話」/壺屋のダンスホール/崇元寺のかがやき/スウィングしなけりゃ、市場じゃない! 2014/十二月の空飛ぶクジラ 浮島・那覇をめぐる妄想 

あとがき     

●著者プロフィール
新城和博(シンジョウカズヒロ)
1963年沖縄・那覇市生まれ。城岳小学校、上山中学校、那覇高校をへて、琉球大学法文学部社会学科社会人類学コース卒業。
月刊誌「青い海」、沖縄出版(「まぶい組」として『おきなわキーワードコラムブック』などを編集)をへて、1990年創立のボーダーインクへ。コラムマガジン「Wander」を2005年の終刊まで編集長として関わる。
現在、ボーダーインクに編集として勤務のかたわら、沖縄に関するエッセイを執筆したり、ぶらぶらと那覇まちを散歩したりの日々。
著書に『うちあたいの日々』『〈太陽雨〉の降る街で』『ンパンパッ!おきなわ白書』『道ゆらり』『うっちん党宣言』『ぼくの沖縄〈復帰後〉史』(ボーダーインク)、共著少々。

●2015年5月初版第一刷発行