• 『走る日本語、歩くしまくとぅば』石崎博志著

『走る日本語、歩くしまくとぅば』石崎博志著

978-4-89982-353-7

1,320円(内税)

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沖縄には変わった表現がたくさんある。
時計が歩いたり、三線が歩いたり、人が海を歩いたり、クーラーが逃げたり……。
どうして「しまくとぅば(沖縄の言葉)」ではこのような表現になるのだろうか。
言語学者である著者が体験した沖縄の言葉へのとまどいと、沖縄社会における言葉の変化を読みやすいコラムで論じた、これまでにない視点から浮かび上がる琉球語の世界。

大好評の『しまくとぅばの課外授業』につづいて、学問的的な視点でより深く面白く、沖縄の言葉の世界を楽しめる、待望のボーダー新書です。

●目次
   はじめに

  第一部  琉球語を歩く 言葉と沖縄社会

   琉球語を歩く 
   古都の住人  
   街並みの保存と言葉 
   正しい琉球語とは 
   「おじいちゃん/じいちゃん」 
   妹の衝撃 
   「だはず」考 
   「わじわじ、そーそー、ちーちーかーかー」 
   ゴキブリとパイナップル 
   「敬語」と敬意表現 
   「いただいてください」を否定すること 
   受け身をとおしてみる言葉 
   「殺すぞ」と「死なす」 
   「おはよう」と返してくれない人 
   始まりは「ん」、終わりも「ん」 


  第二部 方言札をはく  琉球語の移り変わり

   ハイパーコレクション(過剰修正)と『おもろさうし』 
   琉球古字について 
   漢文と日本、琉球 
   「あなた」について 
   彼と彼女はアレから来ている 
   「妻」、「とぅじ」、そして「嫁」 
   名も知らぬ少女・少年たちの言葉 
   「でーじ」の衰退が意味すること 
   「ひざまずき」と「正座」 
   方言札をはく 
   「むいくばな」について 
   絶滅後(語)の世界 
   標準語が冷笑されたこと 
   首斬り同士は、なぜか親友 
   「為又」はなぜ「びーまた」と発音するのか 
   言葉はなぜ変化するのか 


  第三部 走る日本語、歩くしまくとぅば  比喩とうちなーぐち 
 
   走る日本語、歩くしまくとぅば 
   「歩く」と「歩む」 
   琉球語におけるメタファー 
   「こころ」はどこにあるのか 
   オランダからアメリカへ 
   「普通の沖縄人」について 
   オジサンの唐揚げ 
   「歯ぐき」について 
   辞書には載っていないこと 
           おわりに 





「言葉は発せられた直後には消えてしまう。そしてそれが記されたとしても言葉のなかに存在する法則を見出すことは容易なことではない。本書は、そんな沖縄の言葉について記録し、言語学的に考えたものものだが、沖縄の言葉に観られる様々な現象に名前を与えることで、その現象を見え、他の言語と比較できるようにすることを目的としている。例えば、沖縄の人はクーラーの冷気が外に出て行くことを「クーラーが逃げる」と表現することがあるが、言語学的にはこんな表現にも名前がある」


●著者プロフィール
石崎博志(いしざき・ひろし)

1970年石川県金沢市生まれ。東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程中退。博士(文化交渉学・関西大学)。琉球大学法文学部助手、講師、助教授、准教授を経て2018年4月より佛教大学文学部中国学科准教授。沖縄で20年間過ごしたのち、現在京都市在住。著書に『琉球語史研究』(好文出版)、『しまくとぅばの課外授業』(ボーダーインク)。
2012年第16回窪徳忠琉中関係研究奨励賞受賞、2013年第35回沖縄文化協会賞(金城朝永賞)受賞、2015年第43回金田一京助博士記念賞受賞。2016年第51回琉球古典芸能コンクール歌三線部門最高賞受賞(安冨祖流)。

●2018年10月25日刊行

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