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●四六判 ハードカバー 344ページ
●定価2200円(本体2000円+税)
●落合貞夫 著
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「植民地文学」から「世界文学」への跳躍。100年にわたる在日コリアンの文学の歴史を代表的作家36人の作品を通じて概説する本格的通史。〈在日〉文学を世界史全体のなかに位置づけて考察する最新のガイドブック。
●目次
まえがき
序章 戦前に登場した作家たち
張赫宙 日本文壇に最初に登場した作家
金史良 在日朝鮮人として初めての芥川賞候補になった
第一章 50年代に登場した作家たち
許南麒 民族の誇るべき抵抗の歴史を歌う詩人
金達寿 在日朝鮮人文学の嚆矢
金時鐘 日本語で表現しながら非日本語的世界を構築した詩人
金石範 生涯をかけて四・三民衆蜂起事件を書き続ける
第二章 60年代に登場した作家たち
立原正秋 日本人以上の日本人になろうとした
飯尾憲士 懸命に生きた平凡な無名の人間に対する限りない愛情
李恢成 民族の主体性を堅持しつつ、如何に生きるべきかを問い続けた
金鶴泳 実存主義的な内面世界を凝視する作風
第三章 70年代に登場した作家たち
高史明 「政治の季節」を生きた世代の姿を克明に描いた
鄭承博 在日朝鮮人の民衆生活史を描き続けた作家
金泰生 母なるものへの思慕と、非道な父との葛藤を描いた
宗秋月 在日女性作家のさきがけ的存在
つかこうへい 人間の残酷さと生命力の強さを描いた
宮本徳蔵 秀吉の朝鮮侵略のとき、朝鮮に亡命した武士を描いた
第四章 80年代に登場した作家たち
梁石日 底辺に生きる在日朝鮮人の生活を描いた
伊集院静 無頼派と呼ばれる流行作家
麗羅 ミステリー作家になった元陸軍特別志願兵
李正子 短歌の世界で在日文学を代表する歌人
李起昇 第三世代のアイデンティティを追求した作家
李良枝 在日の女性作家として初めて日本文壇に登場した
元秀一 「イカイノ語」と呼ばれる肉体の言葉
鷺沢萠 18歳でデビューした天才女子大生作家
朴重鎬 民族運動との確執と絶望を描く
姜信子 「新たな共同性、命と命のつながり」を目指す
金在南 植民地時代の記憶を再生し、後世に伝える
第五章 90年代に登場した作家たち
金重明 在日朝鮮人文学に新しい歴史小説の分野を開拓した
深沢夏衣 国籍や民族を超えた人間としての普遍的な生き方の探求
金蒼生 ひっそりと生きる者たちの小さな声
金真須美 自分を育てた日本という国に母親像を託した
柳美里 日本社会の抱える病理を正面から問う在日の作家
玄月 在日としての遺伝子を継承する作家
第六章 2000年代に登場した作家たち
金城一紀 従来の在日文学のイメージを大きく変えた
深沢潮 ヘイトスピーチなど今日的な在日のテーマに取り組む
崔実 民族差別と性暴力被害の苦しみからの回復と再生を描く
あとがき
〈引用・参考文献 〈年表〉―文学史―および―政治・社会史―
●著者略歴
落合貞夫(オチアイサダオ)
1954年香川県高松市生まれ。著書に『讃岐の文学案内』(文芸社、2019年)、『四国路・文学の旅』(文藝春秋企画出版部、2020年)、『「悪」とたたかう村上春樹 全長編を読みほどく14章』(文藝春秋企画出版部、2021年)、『現代沖縄文学史』(ボーダーインク、2022年)。
2023年7月30日 初版第一刷発行