仲宗根幸市 著 四六判 115 頁
黒潮文化と乱舞の帯
沖縄のカチャーシー、奄美・八重山の六調、徳島の阿波踊り。黒潮の流れにぞめくリズムの源流をもとめる論考。
目次
はしがき
「前略
本書はカチャーシーの流れと乱舞の広がりを、琉球列島だけでなく日本列島までも視野に入れ、系譜の解明を試みることにした。そこで見えてきたのは、カチャーシーに込められている庶民の熱い思いとさんざめく黒潮の神秘な作用であった。さらに万人を虜にしする、すさまじいエネルギーのカチャーシー(そのもとになるサーサーモーイ)は、沖縄芸能の原点であることをあらためて確認出来たことである。
それでは、ウチナーンチュの祈りや喜び、夢をふくらます乱舞の華・カチャーシーの扉を開けよう。」
第一章 各地のぞめき
ぞめきの世界/八重山のガーリと六調/奄美のぞめき曲/九州のハイヤ節/中国広島のヤッサ節/四国徳島の阿波踊り
第二章 カチャーシーの源流
信仰と芸能の生成/こねりの文化と波揺れの動き/祭りとサーサーモーイ
第三章 乱舞の帯
黒潮の流れとめぐみ/黒潮文化と乱舞
第四章 カチャーシーとは何か
サーサーモーイからカチャーシーへ/カチャシーとチャンプルー/いろいろのあっちゃめー/カチャーシー曲あれこれ/乱舞と群舞/舞いと踊りについて/カチャーシーの踊りかた/ヨイヤナ囃子考
第五章 カチャーシーの展開
シヌグモーイとさんざめき/エイサーのハイライト/宴席・公演フィナーレの花/興奮のるつぼ、当選の一瞬/飛衣羽衣カチャーシー大会
第六章 カチャーシーのこころ
あふれる連帯感/世界へ羽ばたくカチャーシー
あとがき
仲宗根 幸市(なかそね こういち)
1941年ラサ島(現沖大東島)に生まれる。今帰仁村育ち。沖縄大学法学科中退。出版編集記者を経てフリーランスとなる。沖縄の本土復帰(1972年)頃、琉球弧の「しまうた」(民謡)とまつり、民俗芸能の調査研究を志し、74年「しまうた文化研究会」を結成、現在主宰者。まつり同好会(在名古屋)会員。民謡研究誌『しまうた』の編集発行人。調査研究のかたわら、琉球弧規模のしまうた祭典を数多く手がける。著書に『「しまうた」流れ』(品切れ)、『「しまうた」を追いかけて」(ともにボーダーインク)『南海の歌と民俗』、『琉球列島〈島うた〉紀行』(1、2、3集)などがある。
●2002年12月初版発行
メールマガジン「電柱通り通信」より
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スタッフブックレビュー byヨシ子
『カチャーシーどーい』 仲宗根幸市著
結婚式やお祝いなどのフィナーレで、この三味線の音を聞くと、
ホッとして、カンフル注射のように元気づけられるのがカチャーシーです。
私もおもわず舞台に飛だしていったりします。
ハジカサフーナー(恥ずかしいふり。カマトトぶり)して、
出そびれてしまって、あとで後悔するはめにおちいったことも。
「多幸山ぬ山猪(やましし) 驚くな山猪
喜名の高波平 サヨ 山田戻い
(囃子詞)
いった山田やぬさる山田が、わにん山田や行じんちゃせ
(多幸山の山賊よ、驚くでないぞ。俺は喜名の高波平である
山田村からいま戻るところだ)」
カチャシーの音を聞くと、ウチナーンチュなら誰でも
身体中が反応するのですが、
文字で読んでも胸の高鳴りをおぼえることを、この本で知りました。
恋歌でない、労働歌ない、応援歌?
ヨシ子