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●A5判160ページ
●定価2420円(本体2200円+税)
●大滝百合子著
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・手軽に採集できるのが魅力!
・栄養豊富で薬効もあり、健康に良い!
・栽培が簡単で、農薬も必要ない!
・一般の野菜にはない風味があり、食卓に変化をもたらしてくれる!
身近で採集できる21種類の野草を使った「ふだん使い」できる野草料理レシピブックが登場。オールカラーの料理写真とわかりやすくシンプルなレシピ、野草ごとの薬効や採集方法、野草との日常を記したコラムなど充実の内容で、野草料理初心者にも最適です。
【レシピのポイント】
・それぞれの薬草の基本的な料理パターンがわかり、自分なりのアレンジもしやすいレシピを掲載。
・レシピの材料は野草以外は通常家にあるものばかりで、作り方もとても簡単。
・野草の味を隠すのではなく、野草の味を生かし、野草がおいしいと思えるレシピを掲載。
くだかまりさん推薦!
『私たちうちなんちゅの命を育んでくれた
この地に咲く元気いっぱいの
野草達はまさに宝物♡
命の薬になる数々の野草を使ったレシピがココに!
まずはこの本を片手に野草探しにLet's Go〜♪』
関連書籍
『新装版 おきなわ 野の薬草ガイド』大滝百合子著
『野の薬草、食べ物を使った 手づくり化粧品レシピブック』大滝百合子著
【目次】
はじめに—なぜ野草料理なのか?
薬草採集のポイント
毒草について
01 ヨモギ 体がポカポカ温まる
グルクンのタイ風ヨモギいため/ヨモギとバジルのアクアパッツァ/鶏肉とパパイヤの煮ものヨモギ風味/ヨモギ入り手打ちスパゲッティ/ヨモギ入りニョッキ/ヨモギのトマトスパゲッティ/ヨモギのやわらジューシー(ぞうすい)/ヨモギ入りリゾット/ヨモギ入りタイ風味噌汁/ヨモギ入りモヤシのナムル/ヨモギわらびもち/ヨモギ団子入りぜんざい/ヨモギ玄米ドリンク
02 クワ(シマグワ) とにかく何にでも合う
クワ入り豆腐チャンプルー/クワと冬瓜のトマトソース煮/クワ入りきんぴらごぼう/クワの葉のドルマダキア(ごはん包み)/クワ桜もち/クワ豆乳ムース
03 センダングサ 沖縄のミント
白身魚(赤魚)の味噌センダングサソース/ししゃものセンダングサのせ/冷やし豚しゃぶwithセンダングサだれ/ジャガバターのセンダングサ風味/センダングサのムラサキポテトサラダ/ゴボウとセンダングサのデトックス丼/センダングサ入りニョッキ/センダングサ パン/ニンジンのセンダングサバター和え/センダングサのポテトスープ
04 オオバコ ジューシーに入れるとおいしさバツグン
オオバコジューシー/オオバコとモヤシの塩炒め/オオバコと切り干し大根の煮もの/オオバコのゴマ油和え/オオバコのレバーシンジ
05 ニガナ クセになる苦味
貝とニガナの炒めもの/ニガナの魚なます/ニガナとササミの温サラダ/ニガナとカタバミの魚介ちらしずし/ニガナの白あえ/シラスとモヤシとニガナの味噌和え/ニガナの魚汁
06 サクナ(ボタンボウフウ) やみつきになるスパイス野草
豚ヒレ肉とサクナ入りラタトゥユソース/サクナトマトカレー/サクナのチャーハン/サクナ入り豆苗炒め/サクナ味噌/サクナ—刺身のつま/野草クッキー(サクナクッキー センダングサクッキー)
07 タンポポ(セイヨウタンポポ) オリーブオイルとの相性バツグン
タンポポのガーリックオイルスパゲッティ/タンポポのサラダご飯/タンポポのオリーブオイル和えガーリック風味
08 オニタビラコ 気分はイタリアン
オニタビラコのピザ/オニタビラコ入りキャベツのマリネ
09 ツルムラサキ 野生化した栽培野菜
ツルムラサキのバター焼き/ツルムラサキのキッシュ/ツルムラサキと豚ひき肉のスープ
10 スミレ(リュウキュウコスミレ) 食卓を盛り上げるハート形
スミレの葉の目玉焼き/スミレの春雨サラダ/スミレの中華風サラダ
11 アキノノゲシ サクサクとした軽快な食感
アキノノゲシのスペイン風オムレツ/アキノノゲシのだし醤油和え/アキノノゲシのゴマ和え
12 ツワブキ 本当にフキの味がする
鶏もも肉とツワブキの煮もの/ツワブキの醤油和え&ゴマ油和え/ツバ菓子(ツワブキの黒糖まぶし)
13 カタバミ お料理のオシャレなアクセント
カタバミとサーモンとキャベツのサラダ/大根の浅漬けカタバミ風味
14 ウイキョウ 魚介類におすすめ
エビとウイキョウのコールスローサラダ/ウイキョウの魚汁
15 イヌビユ 原始的ホウレンソウ
イヌビユの冷ややっこ(または湯豆腐)/イヌビユのゴマ和えとゴマ味噌和え
16 ツルナ 海辺のキラキラホウレンソウ
ツルナのスクランブルエッグ
17 インドヨメナ ご飯によく合う
インドヨメナごはん
18 ハママーチ(リュウキュウヨモギ) 海辺のスパイス
さわやかキュウリとササミのハママーチサラダ
19 タイワンハチジョウナ 意外な珍味
タイワンハチジョウナのかき玉汁
20 スズメノエンドウ 繊細な風味のサラダ野菜
スズメノエンドウとカリフラワーのサラダ
21 タネツケバナ ポスト・クレソン
タネツケバナと納豆のソーメンサラダ
野草各種
グルクンのかまぼこ焼き(つみれ焼き)野草入り
献立別索引
あとがき
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⚫︎はじめに なぜ野草料理なのか?
手軽に採集できるのが魅力。
私はだいたい週に4、5日、薬草や野草を食べる。日差しが強く葉が固くなる夏場は少なめだが、柔らかくておいしそうな葉が次々と顔を出す季節になると、自然とまた野山に通うようになる。
薬草や野草はわざわざ摘みに行くこともあるが、かばんにナイロン袋を忍ばせておいて出先でたまたま見つけた野草もちゃっかりと採集する。
沖縄では小さな原野がまだいたるところにあるので、出かけるたびに何かしら採集できる。そうして見つけた採集場所を頭に入れておき、あそこにあれが生えていたなあと再度その場所を訪れたりする。食べられる野草を自分の足で集めるのはとても楽しい。野草を根ごと採ってきて庭で育てて食べるのもとても楽しい。それでつい採りすぎてしまっても、野生の植物は腐りにくいので、何日も、ときには何週間もかけてほとんどすべて食べ尽くすことができる。
けれども、自然が好き、野草が好きというだけで、こんな食事を長年続けてきたのだろうか? いや、ほかにもっといろいろな理由があるのだ。
栄養豊富で薬効もあり、健康に良い。
私は自分でいうのもなんだがかなりの健康志向で、舌が肥えていて味にうるさい。私の料理の腕は別として、野草食は長年私の期待に応えてくれているのだ。
まずなんと言っても、野草の生命力あふれる体に含まれている豊富な栄養が魅力的だ。踏まれても刈られても引き抜かれても再びよみがえるなかで蓄えられた養分こそが多くの場合、野草の薬効の源になる。
一般の薬と違って多くの野草は栄養を与えることで体を元気にし、機能を高めることで病気を治す手伝いをする。だから、誰もが食べて健康増進できるし、普通の野菜と違ってちょこっと食べればいいのである。
なにしろ病気を治すくらいの力を持つのだから、逆に一度にたくさん食べ過ぎるのはよくない。量的には普通の野菜の三分の一程度でよいと言われている。生活習慣病に悩む野菜嫌いの人にとってこれはグッドニュースではないだろうか。
肉や魚を食べるときはその三倍の野菜を食べなさいと昔からいわれるが、野草なら同量でよいので本当に楽である。
栽培が簡単で、農薬も必要ない。
さらに野草は無農薬であるという点でも健康的である。私は野山から植物を根ごと採ってきて栽培したりするが、その場合も農薬なしでも虫はつかないし、肥料なしでも粗悪な土ですくすく育つ。
土が硬くなっても、地植えならまったく水をあげなくても大丈夫。あまりにも過酷な環境だと収穫量は減るかもしれないが、一応食べられる。
逆に肥料をあげすぎると葉が大きくなって面積あたりの栄養価は下がり、味が薄くなる。そのほうが食べやすいという人はそれでよいかもしれない。
野草は枯れることなく(大体の場合)、ありとあらゆる環境に姿を変えて適応する。
たとえば、太陽の光を浴びて元気に育った葉を炒め物や煮物に、北向きのベランダで育った柔らかくて薄い葉をサラダにという使い分けもできるのだ。
余談だが、室内で育てると葉が黄緑色になり、おしゃれな雰囲気の観葉植物になる。
いずれにしても、栽培の苦労はなく自由自在に操れる魔法の植物、それが野草なのだ。
一般の野菜にはない風味があり、食卓に変化をもたらしてくれる。
そしてもうひとつ、私を引きつけてはなさない野草の魅力はその味である。野草の味というと、苦ーい、青くさーい、ぴりっとするなどといって嫌がる人もいる。正直私も葉をそれだけで食べたときにはそう思う。けれども、他の食材と合わせて食べたときに、一般の青菜料理では経験したことのない新鮮な味のハーモニーを体験することができるのである。
ほとんどがアブラナ科に属する一般的な青菜と異なり、野草はさまざまな科に属している。しかも、改良されていないので、原種に近い。それが野草の味が個性的でバラエティーに富んでいる理由だろう。野草は新天地を求める青菜グルメをうならせるだろう。
そして、その個性的な味はハーブや薬味のように楽しむこともできる。特に魚料理や肉料理では臭みをとって味に変化をえるためにハーブや薬味がよく使われるが、ここでも野草が大活躍する。しかも野草なら、先に触れたように、魚や肉の三倍の量という野菜需用も同時に満たせるのである。
このように、基本的にタダである野草は、健康志向で味にうるさいのにお金がなく面倒くさがり屋の私に恵みを与えてくれるのである。
皆さんにも野草を毎日の料理に取り入れて活用してもらいたいと思って書いたのがこの本である。
この本ではより野草が使いやすくなるよう、そして、野草がおいしく感じられるよう、次の三点に気をつけてレシピを考案した。
・それぞれの薬草の基本的な料理パターンがわかり、自分なりのアレンジもしやすいレシピを掲載。
私がこの本に託した一番の願いは、ホウレンソウのように、野草を毎日の食卓に取り入れてもらうことである。
ホウレンソウを目の前にしたら、多くの人は「とりあえず茹でておひたしにしようか」「バター炒めにするとおいしいよね」「あまったら豆腐と味噌汁にしよう」といった料理パターンを即座に思い浮かべるだろう。けれども、野草を前にしても頭の中が真っ白になってどうしたらいいかわからないという場合がまだほとんどだ。
確かに野草の本をみると、茹でて食べるとか炒め物にするとかといった記述があるが、これだけの情報では料理に使うのはまだ怖いという気持ちはわかる。かといって複雑な料理レシピでは野草の基本的な使い方が頭に残らないし、自分なりのアレンジもしにくい。
というわけで、本書では極限まで簡単にした料理レシピを載せることで、それぞれの野草の基本的な料理パターンを提示することを心がけた。
もちろん、昔の文献を参考にしたり、私の経験からひねり出したりしたものなので、これですべてとはいえない。ほかの食材と同じように、野草の料理のしかたにも未知の可能性がある。けれども、とりあえずはこの本を足がかりにして、この野草ならこの料理ねと手が勝手に動くような料理のレパートリーを一つでもつくっていただきたいと切に願っている。どの食べられる野草にもフーチバージューシーのような県民的レシピが生まれたとき、私たちの食卓は身近な自然とのつながりを取り戻すだろう。
・レシピの材料は野草以外は通常家にあるものばかりで、作り方もとても簡単。
野草を食卓に取り入れやすくするためにレシピ作りで気をつけたことがもう一つある。それは野草以外の食材をニンジン、タマネギ、ジャガイモなどの家に最初からありそうな食材や近くのスーパーに行けばいつでも手に入りそうな食材にしたことだ。調味料は自然で健康的なものを使っているが基本的なものばかりで種類は少なめである。とにかく野草以外の材料を手に入りやすいものにするよう心がけた。
なぜかというと、野草はヨモギなどスーパーで売られている一部のものを除いていつ手に入るかわからないからである。レシピの材料の中で一つ手に入らないものがあるなら、それが手に入ったときに作ればよいが、 手に入らないものが二つあったら、これは作れないわね、とあきらめる人も多いだろう。
というわけで、たまたまある野菜が手に入ったときに問題なく作れるように野草以外の材料は入手しやすいものにしたのである。もちろん、作り方はどれも簡単なので、旬の食材などを取り入れて自分なりの味を作って欲しいと思う。
・野草の味を隠すのではなく、野草の味を生かし、野草がおいしいと思えるレシピを掲載。
最後になるが、野草の味が好きな私にとって野草料理のレシピはやはり野草の味を隠すものではなく、野草の味を生かすものでなきゃと思っている。
野草は食卓に変化をもたらしてくれる貴重な食材だ。栄養たっぷりだからカレーやハンバーグに紛れさせてがんばって食べようというけなげな努力が悪いわけではない。けれども、「あ、美味しい! 野草の味ぜんぜんしない!」という褒め言葉をいただくのは私にとっては悲しいことである。
できれば、「オリーブオイルと合わせるとニガナおいしいね」とか「センダングサといっしょに食べるとシシャモおいしいね」とか言って欲しい。野草がよりおいしく感じられ、野草により、より美味しくなる、そんなレシピを集めようとがんばったのが本書である。
この本を通して野草の味が好きになる人が一人でもいますように。
⚫︎著者略歴
大滝 百合子(おおたき ゆりこ)
筑波大学人間学類卒、マサチューセッツ大学社会学部卒、コロンビア大学大学院社会学部博士課程中退、上海中医薬大学付属日本校中医学科卒。アメリカを中心に世界各地で再生しつつあるワイズウーマン(自然の摂理に通じた太古の賢女=緑の魔女)流ハーバリズムの日本での普及を目指し、社会学・人類学的観点を交えながら食事、ハーブ、薬草関係の翻訳著述を行う。ハーブ・薬草の使用やふれあいを通して自然に対する原始人的理解を育むことに特に関心がある。これからも、自然のしもべとして師の価値や偉大さを少しでも後世に伝えていきたいと願っている。
【著書】
『おきなわ野の薬草ガイド』(ボーダーインク)
『野の薬草、食べ物を使った 手づくり化粧品レシピブック』(ボーダーインク)
『本物の自然療法—自然に生きる人間本来の病気観』(フレグランスジャーナル社)
『美肌をつくるキッチンコスメ—スーパーの食材でOK!』(主婦と生活社)
【共著】
『本物の自然食を作る—レシピ集』(春秋社)
『自然史食事学—自然の歴史に学ぶ最高の食事法』(春秋社)
【訳書】
『ヒーリングワイズ—女性のための賢い癒し術』(フレグランスジャーナル社)
『ストレスに効くハーブガイド』(フレグランスジャーナル社)
『本物の自然化粧品を選ぶ—完全ナチュラルコスメ宣言』(春秋社)
『メディカルハーブレシピ』(東京堂出版)
【共訳書】
『ガン代替療法のすべて—ガン治療の真髄に迫る』(春秋社)
写真 大滝月子
⚫︎2023年8月 初版第一刷発行