沖縄の水中文化遺産
南西諸島水中文化遺産研究会編
四六判 224ページ
沖縄の海は、歴史の宝庫だった
水中考古学の最前線を紹介!
沖縄の近海を舞台にした水中考古学の最前線を紹介。
沖縄の海は歴史の宝庫だった! ヨーロッパの沈没船、中国陶磁器、和船の碇石、沖縄の壺屋焼など、沖縄近海に沈んでいる「水中歴史文化遺産」から沖縄・琉球の歴史が浮かびあがる。
沖縄の海を舞台にしたはじめての水中考古学の本です。
水中に眠っていた遺跡、遺物を「水中文化遺産」とよび、その文化財を対象とした学問を「水中考古学」といいます。
沖縄の海には貴重な「水中文化遺産」がたくさんあります。
南西諸島水中文化遺産研究会は、考古学、歴史学(文献学)、民俗学などの気鋭の研究者から構成された研究グルーブです。沖縄の海中調査、国内外の文献史料研究を通じて、沖縄の海からえられる豊かで身近な歴史像−その広く深い世界を一人でも多くの方に知って欲しい考えて、本書を執筆されました。
●目次
口絵
はじめに — 青い海に沈んだ歴史のカケラ
地図 南西諸島の主な水中文化遺産
第一章 オランダ墓は語る — 海底に消えた船旅 —(渡辺美季)
一 宜名真オランダ墓の謎
(一)宜名真のオランダ墓
(二)大正時代の手がかり
(三)水中に残る手がかり
二 失われた船旅を求めて
(一)沖縄の記録
(二)日本の記録
(三)イギリスの記録
三 イギリス人の見た琉球
(一)ベナレス号の遭難
(二)カーリュー号の来航
(三)カーリュー号の再来
四 再び水中へ
(一)水中遺物の評価をめぐって
(二)三度目の水中調査
五 沈没船は生きている
(一)石材
(二)錨
六 おわりに
コラム1 地元に残る貴重な記録 —諸喜田福保の「口上覚」—
コラム2 ベナレス号はどんな船だったのか?—当時の新聞記事からわかること—
コラム3 もう一つのオランダ墓 —屋我地島のオランダ墓—
第二章 水中文化遺産への招待 (宮城弘樹)
一 世界の水中文化遺産
二 日本の水中文化遺産
第三章 沖縄の水中文化遺産 (片桐千亜紀)
一 はじめに
二 沖縄における調査・研究の歩み
三 沖縄の水中文化遺産を理解するために
四 海に沈んだ陸の遺跡
五 海に沈んだ海底の遺跡
(一)グスク時代〜琉球王国1 進貢貿易のルートを探る
(二)グスク時代〜琉球王国2 中国産陶磁器の流通と小型碇石が語るもの
(三)メイド・イン・琉球の近世・近代 —壷屋焼の国内流通—
(四)琉球王国のたそがれ —海に沈んだ異国船 —
コラム4 魚垣 —伝統的漁法の水中文化遺産—
コラム5 塩田跡 —名護市屋我地・今帰仁村湧川の塩田跡—
コラム6 石切場跡 —久米島北原海岸の石切場跡—
コラム7 対馬丸とエモンズ —戦争遺跡の沈没船—
第四章 水中調査入門(片桐千亜紀)
一 南西諸島水中文化遺産研究会とは
二 事前調査
三 現地調査
四 保存処理
五 結果分析
コラム8 水中で調査をするということ —潜水病という壁—
おわりに — 水中文化遺産の保存と活用
付記
参考文献
●著者プロフィール
南西諸島水中文化遺産研究会
片桐千亜紀(カタギリチアキ)
一九七六年長野県生まれ。沖縄国際大学文学部卒業。沖縄県立埋蔵文化財センター専門員を経て、二〇一一年より沖縄県立博物館・美術館学芸員。二〇一四年度沖縄県立博物館・美術館特別展「水中文化遺産〜海に沈んだ歴史のカケラ〜」を担当。専門は考古学。研究テーマは琉球列島を中心とした島の人類誌。論文に「国頭村宜名真沖に沈没した異国船の調査研究」(共著、『博物館紀要』第六号、二〇一三年)などがある。第三・四章の執筆を担当
宮城弘樹(ミヤギヒロキ)
一九七五年沖縄県生まれ。沖縄国際大学大学院地域文化研究科修了。今帰仁村教育委員会(今帰仁城跡調査・整備担当)を経て、二〇一二年より名護市教育委員会学芸員。南西諸島水中文化遺産研究会会長。専門は考古学。研究テーマは先史、時代からグスク時代の琉球列島史。論文に「グスク時代に訪れた大規模な島の景観変化」(『先史・原史時代の琉球列島』六一書房、二〇一一年)などがある。第二章の執筆を担当。
渡辺美季(ワタナベミキ)
一九七五年東京都生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。神奈川大学外国語学部准教授等を経て、二〇一四年より東京大学大学院総合文化研究科准教授。専門は歴史学。研究テーマは近世琉球を中心とした東アジアの国際関係史。著書に『近世琉球と中日関係(吉川弘文館、二〇一二年)などがある。第一章の執筆を担当。
●2014年初版第一刷発行